さわやかでまえむきな人間になりたい男が
好きな「文化」を語る。
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さわやかぼっち旅行記 ミャンマー編 6.恩着せバガン今度は2人組

ミャンマー&タイ旅行記


まえがき
ミャンマー編1.ひたすらEMIKAと移動
ミャンマー編2.Prawn is Prawn
ミャンマー編3.ポッパ山
ミャンマー編4.恩着せバガン
ミャンマー編5.古都を馬車で行く
ミャンマー編6.恩着せバガン今度は2人組
ミャンマー編7.ピンダヤまでの美しい車窓
ミャンマー編8.洞窟でおじさんぼっち
ミャンマー編9.インレー湖ショッピング大会
ミャンマー編10.楽園
ミャンマー編11.楽園でお金がない
ミャンマー編12.ヤンゴンへ
サムイ島編 13.おじさんぼっちリゾート〜旅の終わり


ホテル内で昼食を取ってから、しばらくゴロゴロすることにした。
本を読んだり、読まなかったり、ちょっと寝たり寝るのをあきらめたり、音楽を聴いたりした。
音楽はポリーニが弾く、ドビュッシーの練習曲集を聴いたりしていた。
この曲集は他のドビュッシーの曲のように「亜麻色の髪の乙女」とか「水の反映」とかタイトルがついていない。なので、自分の都合の良いように適当に当てはめて聴くことができる。この曲は水の曲、この曲は光の曲というように。
ミャンマーの豊かな自然とドビュッシーの相性はすごくよかった。


十分に休んでから、また自転車でそのあたりを行こうかと思った。昨日と同じ優しい笑顔のおじさんが自転車の鍵を渡してくれた。僕は機嫌がよかった。昨日行った道はもう知っている道。なんだか楽しくなってきた。今日の午前も楽しかった。もうバガンは慣れた。まかせてほしい。今日はまたその辺うろうろして、昨日と同じ所で夕陽が見られるならみて、平和に終わって、明日はこの街を発つ。そのつもりだった。


しばらくるんるん気分(死語)で走っていると、自転車のチェーンが外れた。僕も普段自転車に乗っているし、そんなこともあるかなと思い、道の端によって、チェーンを直そうとした。
その時、バイクに乗った2人組の若い男が止まって、心配そうに覗きこんできた。僕は「ノープロブレム〜アハハ」なんて言って自分で直そうと持ったが、一人の男がちょちょいと直してしまった。
「あーサンキューベリーマッチ」とお礼をいうと、チェーンを直した男がこう言ってきた。


「私は絵を描いている、よかったら私の絵を見ないか」



キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!! またキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
その瞬間、僕の顔がかなり歪んだに違いない。元から顔に出やすいタイプでいろいろ損しているのだ。
「あなたはどこにいくのか」「私はシェーサンドパヤーで夕陽を見る。時間がありません。それは少しです」
と言ってみるものの「私たちは夕陽を見るところ案内する。そこで絵を見て欲しい」と言ってくる。
向こうはバイク、こちら自転車。しかもあちらは男2人。弱そうだけど僕もあんまり強くない。逃げられないかもと思った。
しかし、シェーサンドパヤーはなくても近くの建物はある。今考えればそこに入って巻けばよかった。
一応お世話になったんだし、適当にあしらえばいいかなと思った。夕陽どうのこうのはシェーサンドパヤーかなと思って、あそこなら人が大勢いるし、適当に逃げられるかもと思った。
バイクに乗った男二人は僕についてくるように行った。ていのいいところで巻いて逃げ出そうと思い、自分はかなりの低速で進んで行く。しかし僕を見失いそうになると、片方の男が合図をして、バイクを止めてちゃんと見張る。
困ったな…と思い気づいたらシェーサンドパヤーよりとは違う道を行っていた。冷や汗が出てきた。
俺は突然にキレた。「なんだよいつ付くんだよこのバカ!!!」と日本語で暴言を吐き始めた。もともとキレやすいタイプなのだ。不安もそういう行動にさせていた。もちろん相手に聴こえないと思ったが、一応威嚇のつもりだった。


そのうち人気の無い遺跡についた。ここは2階に上がれるらしい。2階にあがったが、昨日のペインターおじさんの遺跡と同じで、大した高さもないので、大した感動もない。
と思っていると、男がさっそく絵を広げはじめた。「私が描いたんだ」言っていた。昨日の絵とは違う絵。もちろんそうであるべきなのだが。この男ものだというサインは入っていたが、昨日のペインターおじさんと同じ絵を今日の午前に目撃したので、信用出来ないと思った。
しかし、絵は少しコミカルな感じで面白いと思った。「なんだ意外といいじゃん」と思った。しかしあまりにしつこく進めてくる。「いくらだ」と聞く。もう覚えていないのだが、昨日のペインターおじさんより高かった。でももう止められないって感じだった。絵は2枚だと割引になるなんて言ってくる。実はこういうこともあろうかとあんまりお金を持ってきていないのだった。
そのうちまた(自分が)イライラしてきた。
「もうさ、こういう止めたほうがいいよ こういうのがなければバガンってほんといいところなんだけどなあ」とかブツブツというと「マネー!チープ」とか言っている。もうどうでもいよくなり、適当に選び幾らかを渡すと足りない足りないという。
もちろん彼の言い値からは少ない。そうするとまたいろいろ言ってくる。
ほんとうにうんざりして、もう少し渡すがまだ少ないという。いい加減僕はキレてしまった。
「マネーマネーうっさいんだよこのやろう!」日本語でわめいた。
「今日はもう持ってないんだよ!
アイ、ドーントハブ、マネー!!!オッケーーー?????
これだけの大声を出したのはいつぶりだろう。あまりの大声に男達はかなり引いて「オッケー…」と言った。


絵を掴んで走りだした。彼らは追って来ない。
こんな絵なんかいらないとその時は思った。
前にも描いたように、ミャンマーでは遺跡でかならず靴を脱ぐ。靴を履いているのは、失礼なのだろうろうか。理由はわからないけど、この時も脱いだ。脱いだので、この時も急いで履いた。
この時は完全に気が立っていた。彼らが反省すればいい。こんなことするのは止めようと思ってくれればいい。
僕は思いついた。その絵を土の上に轢いて、その上に彼らの靴を乗せて、振り返らずその場を去った。


シェーサンドパヤーに着いて、汗だくになって昨日と同じ誰もいない上から2番目に陣取った。
やっぱり夕陽は見えそうにないくらい雲が厚かった。
だんだん後悔の念が支配し始めた。別に彼らは何も悪いことしてないと気づいた。彼らは彼らのスタイルで商売をしただけだ。
それに金だけ渡して、絵を靴の上に置いて大声だして、自分は本当にひどいと思った。
感情的になると、ほんとロクなことがないと思った。そういえばこういうパターンで大事なものを何度も無くした気がする。
でも感情が無いなんて、もっと哀しいとも思う。いや、そういうことじゃない。
ほんとミャンマーまで着て何やってるんだと思った。
その瞬間、自転車の籠にカメラを置きっぱなしだと気づいた。
急で危険な遺跡の階段を必死で降りて、自転車に戻るとカメラはあった。
本当に自分って馬鹿でダメだと思った。力が抜けてきて、どうでもよくなってきた。
もうこういうのは今更治らない。諦めるしか無い。僕はホテルへ帰った。



気がつくと、陽は落ちきって、夜に入る前の一瞬の時が広がっていた。
川べりは紺碧に染まって、すべてが落ち着こうしていた。
全ては大きな自然の中の出来事だと思うと、僕の心も穏やかになっていた。