さわやかトラウマ日記

さわやかな音楽ブログです from 2004


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【CDレビュー】北園みなみ ポップスの新しい才能、そして新しい狂気

こんな酷い人生でも、生きているとたまに良いことがある。

それは思いがけないアーティストとの出会い、新しい音楽との出会い。何よりの宝物だ。

 

その名は北園みなみ。可愛い名前だけど、男性のシンガーソングライター。本名では無いらしい。

数年前に本人が密かにアップロードしていたSoundCloudの曲が既に話題になって、ASCIIで記事にもなっていた。

ascii.jp

はてブの数も凄いし、僕もこの記事は見た。ちょっと聴いてみた気もするけど、よく覚えていない。凄いねえとは思った。SoundCloudを聴くという習慣もこの頃は無かったので、縁遠い存在だった。

ある日、Youtubeで1stMiniALBUMの「promnard」のサンプル動画の「北園みなみ」という可愛い名前と綺麗なサムネイルに惹かれてなんとなく聴いてみた。

上記の記事だと「M.Kitasono」と名乗っていたから、この名前と結びついてなかった。そのサウンド…凄く良いと思ったけど、特にその時点ではそこまで衝撃というわけではなかった。

やはり何となく引っかかるものがあったのか、その後2nd Mini album「lumiere」のサンプル動画、さらに収録曲の「夕霧」がPVフルで上がったのを見た


北園みなみ「夕霧」Music Video - YouTube

「これは買おう」とタワーレコード新宿に向かって買った。Amazonではダメだった。今、欲しかった。

CDプレイヤーに掛けて聴いてみた。とにかく耳障りの良い、心地良いサウンドというのが最初の印象。声の感じとポップスを基調としたソフトな手触りはやはり「キリンジ」を彷彿させた。

しかし、何度か聴いているとだんだん「みなみ菌」に侵されはじめる自分が居た。いつしか自分の居場所をこの音楽の中に発見していた。

promenade

promenade

 

 

lumiere

lumiere

 

 

みなみ菌の正体

ポップスというものはやはり装飾は過多で、しかしそれで音楽の世界をより演出し、人を惹きつける音楽だと思う。

北園みなみの音楽といえば「宅録」が付きまとうが、SoundCloud時代とは一転して、一流メジャーレコード会社(!)のポリスターからリリースされたこの2枚は、従来の本人による「自作自演」のギター、ベース、キーボードに加えて、ドラムやストリングスやサックスなどをゲストに迎えて、スタジオエンジニアも参加して、本格的。もはや「宅録」とは言えない。

サックスのフレーズやコーラスなど、シンプルながら、歌の隙間を縫うようにダイナミクスも完全にコントロールされ、複雑ながらも全く邪魔をしない。

音の数は凄く多いのに、どこか隙間がある感じがする。

あるはずの無い、ぽっかりと空いたその空間に、いつのまにか座席が用意されている。そこに座って繰り広げられる煌めく音楽絵巻に、口を開けてただただ眺めるしかない。これはリスナーの体験として他のアーティストには無い感覚だ。

北園みなみにしか見えていない空間があって、そこに様々な音を落とし込む。その関係性は他には無い独特なものである。菌のようなものに侵されて、見えないものが見えてくる。

謎のパーソナリティ

ここまで来ると「みなみタソってどんな人なのかな」ってやはり思いたくもなります。

インタビューを見てみると

  • 以前は名古屋に住んでいて、今は長野県松本市に在住。働いているのかは不明
  • コントラバスを学校で学んでいた
  • ジャズバンドに在籍経験あり
  • NYに留学経験あり
  • レコーディングの際には、楽器奏者にはスコアを書いて指示を出している
  • 歌もちゃんと習っていた

という高スキルを立証する華麗な経歴。特に「歌を習っていた」と言えるのは凄いですね。宅録系の人だと、ここが疎かになるのですが(ある程度ごまかせるので)、自らの音楽を追求するためにあえて学習したんですね。

じゃあ普段は一体どんな人?っていうとこれが謎。Twitter(すぐ消す)とBlog(まだ新しい)を見てみても謎が深まるばかり。写真も今のところなし。

でもこれで良いと思う。Twitterは謎すぎる発言が続いて、何を考えているのか、一旦全部削除してました。でもこれでいいと思う。好きにやればいい。

みなみタンはもちろん歌詞も自分で書いているけど、ポップス的な哀愁を感じさせつつも、特に明るくもなく暗くもない、かと言って意味がわからないわけでもなく、でも何の事かを具体的に訴えかけてくるわけでもない。よって歌詞世界において、パーソナリティは重要ではない。

しかし、明らかに異質だし、パーソナリティは重要では無くても、その人間そのものに興味はある。本人的にはこれでも今、結構表に出してる方だと推測します。

音楽と同じく好きなようにやってもらって、残りの自分の露出も今まで通り好きなようにやってほしい。やはり音楽も含めて、そのありあまる狂気には魅力を感じます。

僕みたいな意地悪なおじさんに「キリンジ」に似てるとか言われたり、つまらなそうな人間にTwitterきもいとか言われても、気にしないでほしい。気にしてなさそうだけど!

 

僕の周りの人はみんな彼を評価していて、名前を検索すると誰もが彼もがTwitterでも「凄い」と絶賛しているのに、Youtubeの「夕霧」の視聴回数は2千回ちょっと!信じられない!不具合?まさかもしかしてみんな、まだ知らないだけ?と思ったので、このブログを書きました。

最後にこの2枚のCDをリリースして、上質なPVまで制作してくれたポリスター様には最大限の敬意を表します。