ゲスの極み乙女、全く興味が無かった。
でも、ローラが出ているCMの「私以外私じゃないの」のサビ部分を聴いて「おっ良いかも」と思った。
でも、「ゲスの極み乙女」を始めとした新興邦楽ロックに全く興味が無かった。新興邦楽ロックとは、まあ新し目の若い人がやってるロック。
とにかく皆前向きか無意味に暗いか、ラブソングばっかりか、致命的なのは男が高音でカエル声で歌うこと。特に最近のバンドはこういうのが多い。
というか、「邦楽ロック好き」なら必ず聴く、BUMP OF CHICKENやアジカン、くるり、BACK HORN、あたり全く興味が無くて全然聴いてない。実はこの辺りのバンドの偉大な始祖である、ミスチル様も殆ど興味無くて…。
ヴィジュアル系は散々書き倒しているように好きなのだが、好き嫌いはやはり激しい。でもこの場合「嫌い」とかじゃなくて、前に挙げたようなバンドは、本当に興味が無いのだ。
邦楽のポップスは結構好きで色々聴いたりする。でも「バンド形式」だと全然興味がなくなる。
もしかして自分も30代後半になっても未だ絶望的な毎日で、キラキラしている彼らを羨んでいるのかもと思ったけど、10代、20代の頃もそういうバンド(売れてる邦楽バンド)が好きじゃなかったので、そういう視点は無くて、今も昔もこの手のバンドに興味が無いのは変わってないと思う。
そんな自分がよりにもよって、何故「ゲスの極み乙女」に惹かれたのか。
やっぱり「私以外私じゃないの」が良い曲だと思った。なんとなくYoutubeでも観たりしたけど、はじめて歌詞付きでちゃんと観たのが、なんと紅白!紅白新規!
やはりサウンドは疾走感に満ちていて、ピアノもドラムもベースも僕好み!ピアノとドラムの子達があまりに可愛いのでまずそこにビックリした。
そして歌詞にビックリした。何を言わんとしているのか、初めて聴いた時はさっぱりわからなかった。抽象的だけど、何かを愛している?誰かに対して怒ってる?私以外、私じゃない?意味がわからない。
川谷くんのボーカルも正直好みではない(カエル声とまではいかないけど)けど、全然いいかもと思った。最高なサウンドと曲で全て帳消しだった。
新曲の「両成敗でいいんじゃない」も良い曲だと思った。アルバム「両成敗」聴きたいなと思った。そしたらあの事件。
僕は他人の貞操に全く興味が無い。
川谷くんと奥さん、ベッキーがどうなろうとはっきりいってどうでもいい。本当に興味が無い。
ぶっちゃけミュージシャンが犯罪を犯しても、自分には関係ないし、どうでもいい。それが音楽の評価と関係してくるとは思えない。
むしろどんな人なんだろう、どんな歌詞なんだろうって興味を持ってしまう。
マッキーが覚せい剤にハマっていた時の曲を聴いたりする。ASKAの明らかなヤバイ時期の歌がテレビで流れていて、結構良いな、なんて思ったりする。
だからこれで川谷君の評価が僕の中で下がるということはもちろん無い。でも「ゲスの極み」(LINEの画面キャプチャを流出させた人)が誰だったのかは気になる。みんな言わないけど、ホリエモンがあっさりテレビで言ってた。ほんと僕も皆も、ゲスの極み。
最新アルバム「両成敗」も是非聴いてみたいと思ったのだが、なんせ貧乏。貧乏の極みおじさん。しかしApple Musicにあるかも思い、探してみたら「私以外私じゃないの」と旧作のアルバムやシングルは入っていた。
そして、聴いた。2枚配信されているアルバムの内、2014年の「魅力がすごいよ」を今日はレビューします。
なんとなく気になっていたゲスの極みでも聴こうかなと、ふと吉祥寺のいせやで思った。
吉祥寺に用事があって来ていた。用事が終わり、お酒に弱くて普段殆ど飲まないけど、ヤケクソだった。本当に辛い事ばかりだから、心が弱っていた。とにかくせつなかった。
Apple Musicにゲスが入っているのはもうチェック済みだった。
早速iPhoneを出して、店を出てそのまま井の頭公園まで歩いた。井の頭公園は久しぶりだけど、夕日が少し出ているせいか凄く美しかった。
そしてイヤフォンから「魅力が凄いよ」の1曲め「ラスカ」が聴こえてきた。
「この曲いい!」とすぐに思った。そしてこの曲は「私以外私じゃないの」に似てるな、って。でも順番的にはこの曲の方が前だった。
戸惑っていると、聞こえてくる歌詞とメロディとサウンドが心に突き刺さる。配信だから歌詞はこの時見ていない。
ふと見ると、井の頭公園の池が凄くキラキラしている。
今日もまた嫌なことばっかり
泣いたふりで避けてばっかり
ここの歌詞が自分の事のようで、心に突き刺さる。ほんとに嫌なことばっかり。。。
でも、このサウンドと風景がリンクして、でも頑張ろう!とシンプルに思った。
後でわかったのだが、川谷くんは東京農工大出身。だから井の頭公園にも来ていただろう。この風景を観て、この曲が浮かんだのかは不明というか、違うだろう。でも心象風景の一つとして東京農工大の人だったらあるに違いない。
「ラスカ」ってなんだろう。そう考えていると曲の最後の方にやっと「ラスカ」という歌詞が出てくる。
やっぱりまだ僕は歌うから
泣いたふりしないで聴いてよ
漕いでた船を飛び出して
ラスカ、君はもういないけど
僕は叫ぶよ
「ラスカ」が何なのかは、よくわからないけど
井の頭公園の夕日のオレンジに僕の身体から何かが溢れだして、夕日に溶けていく感じがした。ラスカ?
ラスカは君はもういない。
どうしよう、好きかも。
2曲め、3曲めと聴いて行くうちに全曲「私以外私じゃないの」に聴こえてくる。「もしかして」と思っていたが、家に帰って全曲聴くと、やはり「私じゃない」に聴こえるでも私じゃないの方が後だし「私以外私じゃないの」と曲が言っている。
僕は混乱した。
そんな中で殆ど全曲好きなのだが、特に好きなのは先に挙げた「ラスカ」と「サリーマリー」という曲。強烈に切ないサビ。よくわからないけどとにかく切ない歌詞。
歌詞「サリーマリー」
http://j-lyric.net/artist/a05866a/l0335b7.html
川谷くんのサビの高い声でサリー!マリー!と歌われて完全にノックアウトされた。歌詞もよくわからなくてこの曲もやっぱり「私じゃない」に似てる。
川谷くんはとにかく「混乱してる」という印象。嬉しいけど、哀しい。好きだけど嫌い。何処に行くべきかはっきりしてるけど迷ってる。共通してるのは「混乱してる」
そして混乱してその泥の底にあるのは「タスケテ」という言葉。歌詞に「タスケテ」っていうのはたぶん無いと思うけど、やりきれない状況に言葉にはしない「タスケテ」という悲鳴が聴こえてくるような気がする。僕が聴きたかった音楽だ。
曲が全部一緒、後に出されたアルバムの殆どの曲が「私以外私じゃない」に聴こえる。というのは大げさかもしれない。でも僕にはそう聴こえる。僕だって混乱している。勘弁してほしい。
このアルバムリリース後、ブレイクを経て例のアレで更に混乱してしまったと思われる状況の川谷くん。
僕もこのアルバムを聴いて以降、更に人生に混乱してしまった。
川谷くんの混乱状況に比べると僕なんてスケールが小さくどうでもいいのだが、似た境遇(不倫じゃないよ)の僕は、彼が今がどういう状況なのか、心の中がどうなっているのか、とても気になる。
もう干されてメンバーも離れてしまったかもしれない。もしかしたら事務所もレコード会社も首に・・・音源も発売中止とか・・・何も犯罪を犯したわけでもないのに。そういう気運があると思う。心配だ。
「ゲスの極み乙女」という看板は無くなってしまうかもしれない。でも、僕は川谷くんをずっと見守ろうと思う。
ありえない。こんな事このアルバムを聴くまで、「ゲスの極み乙女」がこんなに好きになるなんて。僕も混乱している。私以外私じゃないの。私以外私じゃないの。謎のフレーズが頭で響き渡る。そしてやっと気づいた。私以外私じゃない。普通に考えればよかった。
本当に「私」以外は「私じゃない」やっと気づいた。
川谷くん帰ってきてね。
終わり