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さわやかでまえむきな人間になりたい男が
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【ポップス】Pizzicato Five「Couples」"もう若くない" アラフォーの自分に響くソフトロック

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最近、自分の年齢を強く意識するようになった。

実は、自分がいくつで、その年齢が世間からどのような評価を受けるかということは、若い時から、ほとんど意識していなかった。

「今、19歳なんだ」とか「25かあ」とか「もう36歳」とか、他人に言われたり、書類を見たりして「ああ、そうか」と思うだけだった。

ここ半年面接を沢山受けた。基本的に社会的なところでは年齢の話題はタブーだと思ってる。面接でもするべきではない、と、僕は思うんだけど世間はそうはさせない。

「え、39歳ですか?全然見えないです!」とか、席についた僕を見てネットで登録したプロフィールを見た後にまた僕を見て一言「…若い!ほんとに39ですか?」と言った面接の人。

そんないい事ばかりじゃない。年齢の事を「結構イッてますねえ〜」「そろそろこれからの事を考えなきゃいけない年齢ですね!」とか失礼な事を言ってくる人もいる。その場ではもちろん笑ってやりすごす。心のなかでは凄い事になっている。

 

これは自慢しているわけではない。さっきも書いたように、年齢とか自分がいくつとか相手がいくつ、とかそういう事はほんとにどうでもいい事で、口にするのも恥ずかしいと思ってる。まあ、面接は仕方ない。そして面接は落ちまくった。中には年齢が理由というのもあった。派遣か人材登録会社の応募でそれを理由を落とされた事が多いけど。

厳しい厳しい厳しい時代!

それにしても、あまりに若い若いほんとに言われる。

そういうことを言われたら嬉しいけど、見た目とかの問題は別として、それだけ自分が歳を重ねてしまったということも表すことになる。

 

「もう若くない」

 

しみじみと考える。もう若くないんだ。

今日、紹介するのは「もう若くない」というコンセプトを元に作られた、ピチカート・ファイブの「Couples」というアルバム。

 

1987年にリリースされたこのアルバム。もうかなり前。いわゆるアイドル全盛期。バブルの最盛の前かな。超メジャーのソニーからリリースされたアルバム。なんでもレコーディングには1ヶ月かけたらしい。レコーディングに1ヶ月かけるのが多いのか少ないのか、よく知らない。

でもエンジニアは一流の吉田保だし、このアルバムを聴けばわかるけど、通常のギター、ドラム、ピアノだけではなく、オーケストラ(ストリングス、金管楽器)や、打楽器、ハープなどもちろん生演奏で入っている。かなりの予算をかけたのではと思うけど、当時は1ヶ月は普通だったのかも。Xは別格として、LUNA SEAのデビューアルバムも、かなりの予算をかけたらしい。具体的な額はわからない。

世の中も、音楽業界もこの時は、今よりも景気がよかった。

「ソフトロック」とは

このアルバムは60年代や70年代のアメリカを中心に巻き起こった「ソフトロック」を見事に再現している。小西康陽だからこそ、そしてソニーの力があってこそ、出来たんだと思う。

「ソフトロック」ってあまり知られていない。そうかなと思ってたがやはり日本独自の定義らしい

ソフトロック - Wikipedia

優しいソフトなボーカル、美しいメロディ&ハーモニー、アコースティック中心のソフトなサウンド、豪華なストリングス、抑えつつも、スタッカートの効いたブラス…

具体的に挙げると僕が一番好きなのはハーパース・ビザール


Harpers Bizarre / The Drifter

最高に美しくて泣ける名曲!本当にソフトに心に寄り添ってくる。この歌詞も凄く良い。

他にもロジャー・ニコルスThe Beach boys、Solt Water Taffyなど、こんなに自分好みの音楽があるんだ!と感激した当時。

ソフト・ロックAtoZ」という分厚いガイド本があって、それを熟読して肥やしにした。

 

Bepop 3/ソフトロック A to Z

Bepop 3/ソフトロック A to Z

 

これなのかな〜?表紙が違うような気がする

これを買ってみようと思う。

 

Pizzicato Five「Couples」

そろそろ本作品へ触れましょう(なんとここまで前置き!長過ぎる)。

この作品「Couples」は、その「ソフトロック」を忠実に再現した素晴らしいアルバム。果たして売れたのかはわからないが、売れなかったらしい。予算に対して明らかに…赤字!でも再発されて今でも売っている。

作品はやはり小西康陽節。歌詞も小西節。そして一番皆が知ってるピチカート・ファイヴと異なる点。それはメンバー。小西さんに、高浪慶太郎 、鴨宮諒そして佐々木麻美子!!!そうボーカルはメインが佐々木さん。高浪さんも結構歌ってる。男女デュエットはソフトロックの基本だしね。

この佐々木さんのボーカルが野宮さんとは全然違う!!

いわゆる「ささやき歌唱」だけど、このサウンドにはぴったり。優しい声質に、眠たそうな歌い方。どんな感じかはっきり表すと「眠い、ダルい、辛い」

憂鬱で美人なOLがそのまま歌っているような感じ。

 

2曲めサマータイムサマータイムこの曲の元ネタはなんだろう。まあ、とにかくこの曲は素晴らしい。夏の暑さ、それと反比例する爽やかさが感じられる。オーケストラルな間奏は、4分の4に1拍足して、変化を付けるという技。凄すぎる。こんなサウンドが日本人で作られたなんて!

3曲め「皆笑った」は後々ピチカート・ファイヴ水森亜土のカバーなどで曲が残ったシャッフル系のソフトな曲。作詞は小西さん作曲は高浪さん!

佐々木さんのダルそうな声が冴える、マジ眠いダルい辛いといった感じの歌詞が最高

眠れなくて仕事中に

あくびしてばかり

お昼ごはんはサンドイッチだけ

食べたくもない

 なんかリアルなオフィスの描写!しかも歌詞の中の彼女は、本当にやる気が無い。

でも…特別じゃないと思う。みんな、こんなもんでしょ?違うの?

だけど恋してるなんて

もう若くないのに

自分でもおかしいから少し笑った

 キター「もう若くない」この曲の歌詞は本当に凄い。小西康陽はほんと天才だと思う。

凄くリアル。共感できる。わかるわかるみたいなのがある。自分は男だけど、大体こういう世界観に住んでいる。もう若くないし、心に響く。素晴らしい!

  

4曲め「連載小説」ロジャー・ニコルスを意識したらしい、美しい曲。大人しいボーカルのデュエットが本当に素晴らしい。抑えに抑えたブラスと、ハープも、もちろん生!ハープってわかるよね?僕には縁遠い楽器だけど、大好きで憧れてる!生ハープの入った現代ポップスなんて、滅多にない!小沢健二の「僕らが旅に出る理由」くらいしか印象にない。もっとあるかな?探してみよう。

歌詞はとにかく、大人、そして鬱。一時期「プチうつ」なんて変な言葉あったけど、まさにそんな感じ。

 

9曲目「憂鬱天国」は高浪さんが主役の曲。優雅でシャッフルリズムに載せて高浪さんがダルソーに歌うのが最高。歌詞はタイトルの通り、まあ言ってみれば愚痴ソング。

電話で母さんが嘆く

お前は随分冷たい

その話は明日にして

うわあ・・・憂鬱・・・

家族との憂鬱エピソードは他にも電話で兄さんが「お金を少々」なんてのもある。

憂鬱!

恋愛も上手くいってないらしい。

こんなに愛してるのに

こんなに哀しいのは何故

今でも思い出すのさ

君も若くて 僕もくたびれてなかった

二人で夢を見てた

今でもそんなに僕が

歳を取ったわけでもないのに

 なんかねーわかるわかる。小西康陽はこの曲を作った時、おそらく31歳!ということでこの歌詞は理解できる。自分が「若くない」と思い始める年齢。僕から見たらまだ若いんだけど・・・><

この「二人で夢を見てた」の「見てた」の部分だけが、3拍子になってる。歌詞に合わせてなのか知らないけど、そんな高度な手法(一瞬だけど、演奏は難しい)を使うなんて凄い!ていうかパクろう!いや、自分が作曲する時、この手法をマネしてみよう!

「憂鬱天国」は本当に素晴らしい。この曲をSMAP稲垣吾郎がカバーしたら良さそうだとずっと妄想している。

 

日本製「ソフト・ロック」の傑作

いろいろソフトロックを聴いてきて、最後に辿り着いたのが、このアルバムだった。日本のソフトロックもあったけど、このアルバムに匹敵するソフトロックは聴いたことはなかった。

最後にピチカート・ファイブに辿り着くなんて、想像もつかなかったけど、小西康陽がソッチ方面に凄く詳しい事はわかっていたので、ありえない話ではなかった。ていうか知るのが遅すぎた。このアルバムを知ったのはたぶん98年か99年くらい。

 

いろんな背景(予算等)からこのアルバムを超える「日本製のソフト・ロック」はもう出てこないと思う。残念ながら。

だからこのアルバムをみんな聴くべきだと思う。定価でも買う価値あり。

www.amazon.co.jp

再発版は新品で2100円!安い安い安すぎる!

 

仏作って… 

長くなったけど、最後に。

このアルバムに関して、日本ポップスの御大、山下達郎さんがコメントしたらしい。

おそらくエンジニアの吉田さん繋がりだと思う。

その内容は…

「仏作って、魂入れず」

とのことで批判的な感じだったとのこと。

ほほお、と納得した。

仏(サウンド)魂(声など?)

 

だと僕は解釈してるんだけど、

確かに言われてみれば、そうなんだけど、ソフト・ロックがそういうボーカルスタイル

というのは、山下達郎先生だって理解している筈。

もしかして別の意味なのかな?

 

この発言、どこで見たのかわからなくて、詳細不明。

検索したら、違う雑誌で次作「ベリッシマ」をこの言葉を使って他の人が「ミュージック・マガジン」でこの言葉を使って批評したらしい。うーん違うのか?

山下先生について詳しい人がもしご存知だったら 教えて下さい。

 

ここまで読んでくれてありがとう!