4月6日。昨日。
僕は六本木の「けやき坂」で桜を眺めていた。
ここまで1月後半くらいから、ずっとずっと寒かった。毎日雨か曇りだった。
4月になっても、寒さは続いた。
この日は久々の晴れ。昼休みの僕は、会社のそばを一人うろうろ歩いていた。
そしてこの風景に辿り着いた。あまりの幸福感に写真を録った。
場所柄か白人の子供達が沢山いて騒いでいる。可愛いから騒いでも許す。
「あれ、欅坂46の欅坂ってここかあ」とやっと気づいた。
けやき坂が、六本木にあるってのは知っていた。ここだったとは。
本当はじっくり見たかったけど、まだ入社2日めだし、全然気にしてないと思うけど、休憩時間は守らなきゃいけない。早々に会社に戻った。
別に欅坂46が好きだから、行ったわけではなくて、偶然なんですよ。
その日はちょっと体調が悪い&仕事をいきなり押し付けられて混乱して、調子が悪かったけど、必死に頑張ったから欅坂46の事は考えなかった。
そして、帰り道に全てが変わった。僕は「No」を突き付けることにした。
全てが終わったと思った後に、今日が檜坂46の「サイレントマジョリティー」の発売日だとやっと気づいた。僕はiTunesで買った。
サイレントマジョリティー
この曲を聴いてあまりの衝撃に、思わずブログを書いてしまった。
ブログはあまり反響が無くて、寂しかったけどそんなことはどうでもいい。僕はこの日以来、この曲、PVに夢中になった。正直、他の曲を聴く機会はあったけど、この曲がダントツだった。正直他の曲は好きじゃないかも。
この曲のどこがそんなにいいの?ってみんな思ってると思う。
それを項目ごとに説明しますね。
秋元康先生のありがたいお説教がおじさんの心に何故か響く
最初はCMでサビを聴いただけだったので、歌詞なんか気にならなかった。メロディがいいなって。しかしYoutubeで聴いていると、いろいろ驚く事があった。歌詞が、歌詞がきになる。まだリリースされてないので歌詞カードはない。ネットで耳コピしたのか、既に歌詞が上がっていた。
その歌詞は衝撃的だった。僕にとってね。
全てを秋元康に見透かされていたと思った。
典型的な「励ましソング」かと最初聴いた時は思った。でも違った。歌に乗るとなぜか僕の心に響いた。
40近いおじさんの孤独な男が、部屋でひとりきり、ヘッドフォンでアイドルの曲を聴いて、感動している。悪夢のような光景だけど、現実だから仕方ない。
夢を見ることは時には孤独にもなるよ
誰もいない道を進むんだ
この世界は群れていても始まらない
YESでいいのか? サイレントマジョリティ
この曲が何がいいたいのかは、よくわからない。サイレント・マジョリティである人たちを鼓舞する曲だと思う。
でもそうだけではない。色んな解釈が出来るように書いている。取りようによっては「大人数アイドルグループを否定」するような歌詞とも取れる。
そんなのありえない。でもそうとしか取れないような箇所がいくつもある。
大人数アイドルグループのデビュー曲で、大人数アイドルを批判するような歌詞、なんてありえない。
秋元康は凄いとは思うけど、崇拝しているわけではない。それは過去に頑張って書いたAKBの全シングルレビューを見てほしい。このブログはかなりお気に入り。
そしてこの曲、秋元康の曲で、唯一引っかかった曲
歌詞に大きな矛盾がある曲。詳細は上で。
この曲と「サイレントマジョリティー」との類似は至るところで囁かれた。でも、似ているようで似ていない。
大きな違いがある。「制服のマネキン」は基本的に恋愛ソングのように見える。「サイレントレマジョリティー」は恋愛っぽい描写はいっさいない。恋愛のように捉えることも出てくるが、基本的に違う。曲調は確かに似ていると思う。でも歌詞は全然違う。
秋元康の励ましソングに、励まされるどころか、大きく心が動かされているという事実を、受け入れられなかった。AKBでも「River」「Beginner」という「お説教ソング」があった。全然心に響かなかった。でも「サイレントマジョリティー」は別。
平手友梨奈
そして、PVを初めて見た時一つ大きな衝撃があった。
その時は名前も知らなかった、センターの子。PVが始まってすぐ「この子がセンターかな」と思った。曲が始まるとやはりこの子がセンターだった。
可愛いとか、じゃない。この曲は曲が曲だけに、全員笑ってない。センター以外の子も全員笑ってない。
センターはセンターだけにPVでもアップや引きでもよく映る。
僕は鳥肌が立っていた。それは、恐怖だった。
彼女の目から異様な殺気を感じた。
「殺してやる!」
「死ね!」
そんな声が聴こえるような気がした。
もちろんそんな声は入ってないし、歌詞は無い。
目の底には怒りだけではなく、恨み、哀しみ、諦め、などの感情が渦巻いているようだった。
「タスケテ」
「お願いタスケテ!」
という声も聞こえた気がした。それは自分の声だった
彼女の冷たい表情と目に…正直言うと魅了された。
平手友梨奈ちゃん 14歳。愛知県出身でたぶん中3かな。
普段の彼女は普通の子で、このPVだけ顔が違う気がする。PVでは笑ってないからだと思う。もちろん普段も可愛いとは思う。
この曲のPVが完成した時、秋元康はどんな気持ちだったんだろう。さんざんな成功を収めて、まだ金儲けを考えてるのかってのも正直ある。でも金なんてもういらない筈。欅坂が売れなくて解散しても問題ない。
このPVの完成版を見て、クリエイターとして心底満足したに違いない。
正直悔しい。
平手友梨奈の良さを全面に引き出したPV。リリース前から騒ぎになっているに違いないと思いきや、それほど世間は盛り上がってなかった。個別握手会も買おうと思った時は余っていた。人気のナンバーワンじゃないらしい。今はわからない。
そして、CDがリリースされるとこんな記事が出た。
よかった!自分だけじゃなかった。秋元康が激推しらしい。
それがあのPVだった。彼女が1人だけ輝いているように僕には見えた。
普段の彼女からすると、想像つかない。
欅坂のメンバーもこれを見て、どう思っただろうか。「自分は脇役」だって思っただろう。僕だったら、芸能界を諦める。でも、彼女たちもこれからは分からない。
まだ14歳。背がぐんぐん伸びているらしい。どんどん見た目は変わるだろう。
活動もいつ辞めるかわからない。
女優に凄く向いてると思う。前田敦子や大島優子とは比較にならない。演技は見たことないけど、彼女を使いたいと考える関係者は沢山いるらしい。絶対イケると思う。なるべく早く、映像に残してほしい。
あんなPVを残してくれて、秋元康やスタッフの人たちは偉い。本当にありがとうと言いたい。
あとがき
PVを見ていて、渋谷の工事現場だというのはすぐわかった。そして、あのビルが映っていることに気づいた。ヒカリエ。僕にとっては思い入れがあるビル。
思い入れといっても好きなわけではない。僕はこのビルの中にある会社に通っていたのだ。良い思い出も悪い思い出もあるけど、複雑な色んな思いが、ヒカリエを見る度に、いろんな思いが心に浮かぶ。自分が辞めた会社の入っているビルを見て、複雑な気分になるのは、社会人だったらわかってくれると思う。
ヒカリエは山手線から、街角からでも、見たくなくても目に入ってしまう。
PVにここまでヒカリエが映ってるのは初めてみた。美しい美しい夜の東京の渋谷。ヒカリエのオフィスゾーンから見る夜景は、今まで見た夜景の中で一番美しかった。
あまりに美しいので、トラウマになって、あまり見なかった。
そう、歌と現実がリンクしているように思える。
僕は家に帰って「No」と言うことを決断した。
そして今日、僕は「 No」を突きつけた。
僕はここ数週間「サイレントマジョリティー」だった。
全てが終わった。いや、始まったんだ。
ここまで読んでくれてありがとう!