本日ドラマ「カルテット」を見ました。毎回見ているけど、途中途中入浴をしたり、あまり集中力を持って1回目2回目は見ることができなかった。ただ、エンディングテーマの椎名林檎提供の曲は素晴らしく感動し、毎週楽しみにしていた。
今日、ドラマがはじまった。本当はまた入浴をしたかったが、ドラマに引き込まれて、それをわすれた自分がいた。なんでだろう。満島ひかりが可愛いからか。今日の主役はその満島ひかりが演じる、世吹 つばめ。予告の感じからそんな風だった。謎めいたキャラクターだった。松たか子演じる巻を監視してもたいまさこ演じる巻の死んだ夫の母親に行動を報告している。自分のことは話さない。しかし笑って愛くるしく、カルテットの間でも目を引く存在。モコモコした服を着ているのに、妙に似合っているのが満島ひかりの顔が小さいからかと、ずっと気になっていた。
アイドル好きだから満島ひかりのことはずっと前、Folder、Folder5のころから知っていた。女優として、いち早く「元アイドル」という十字架を脱ぎ捨ててブレイクした彼女を、僕は遠いもの、尊敬すべき遠いものとして見ていた。しかし今でも本人の伸びしろはある、と自身でも考えているに違いない。
野心、良い言葉かはわからない。彼女には野心がある。ような気がする。
今日はつばめの出自が明かされた。
彼女の父親は詐欺師で、手品師。彼女は利用されて、一時期有名になった。
父親は失脚した。彼女も子供ながら詐欺師扱いをされて、いじめにあう。インターネットにその当時の動画が残されている。
そして名前も残された。その事で人間恐怖症になり、会社で働くもしだいに「犯罪者」だとばれてしまう。それでも彼女は笑顔で会社に通った。もちろん人とは口をきかない。机には毎日「出てイケ」と書かれたメモが置かれる始末。
そして彼女はそのメモが100枚たまったあたりで、会社を笑顔で退職する。
その様子を見ていた人が、彼女の名前を「すずめちゃん(仮)」として、ブログに体験記として上げた。その証言が、彼女の身元を突き止める手がかりとなった。
ここからは自分語りで申し訳ないが、私はここ、またはここの「裏ブログ」で、知人との思い出を仮名にて書いていた。それはあまり過激なことや、やましいことではなく「◯◯さん面白い人だった」というもので、大したことはない。ただ、そのブログがきっかけで大事な当事者と再会できた。なので、この場面で凄く心に来た。現実とドラマがリンクしているような気がした。
重要な父親の件を経て、つばめちゃんは軽井沢に帰る。途中高速道路の標識が出る。もうすぐ軽井沢だ。また私事で申し訳ないが、私は軽井沢からそんなに遠くないところに住んでいます。ピアノをいつも森の中で一人で弾いています。クラシック音楽も大好きです。だから1回目はとりあえず見ました。
そういう視点、クラシック好きから見ると、最後の演奏シーンはものすごく、ものすごく感慨深かった。
全てが解決したあとのこのシーン、つばめちゃんがチェロのポーズを構えて、他のメンバーは姿勢を崩さない。ソロだ。チェロのソロ。あの曲かな?と思ったらその通りの曲が流れてきた。
誰でも知っている、とはもちろん限らないけれども、チェロだけの曲としては一番の知名度となる曲だ。
「やっぱりこれか」と私は少しがっかりした。でもそれは贅沢なことだと思った瞬間、彼女は演奏を止めた。すこしざわつく客席。どうしたのか
「すみません。もう一度、やり直します。」
そう言ったときには、まだどこか虚ろな目だった。
そこから彼女は深呼吸をし、位置と姿勢を慎重に見直して、曲の開始位置に指を載せて、弦を上げて、そして顔、目が変わった。
「まさかもう一度バッハなのか」
と思った瞬間、耳を疑った。
コダーイ。
これはコダーイだ
曲はすぐ終わった。観客の拍手もなく、場面は楽屋に切り替わった。
他の「カルテット」のメンバーの反応は上々だったようだ。全てが解決した。
wikipediaでは、あまり伝わらないが、この曲はチェリストの間では、神聖なる名曲そして史上最難の曲とよく知られている。シュルタケルという有名なチェリストの演奏、録音で有名な曲だ。全3楽章で今日ドラマで演奏されたのは1楽章の最初の短いところだけ。全楽章聴くと、今までの音楽にはない、チェロのソナタだけにはとどまらない音色とリズムが聴こえてる、凄まじい曲だ。
こんな曲を、この場面で選曲してきた。すごいと思う。コダーイだなんて。この場面に。しかも何の説明もない。普通の人にはわからない。でも、カルテットのメンバーだったら、知っているレベルの曲だ。凄い曲だから。同じ楽器ではなくても、弦楽奏者であれば知っているはず。
つばめちゃんの顔、目が変わったのは、この曲を弾くから。このすさまじいを曲、この場面で弾こうとしたから。
クラシック音楽は形式がきちんと決められた音楽だが、時としてその形式を崩して、ラストを迎える事がある。むしろそれがクラシックの醍醐味とも言える。
今日の主役が、ほんとうの変化を見せた。それを最後の場面で見事に表現した。
これは、クラシック音楽のドラマだ。そう実感した。
このドラマのクラシック音楽の取扱に対しては、ここまでのところそれほど評価はしていなかったが、今日は感心しました。素晴らしい。
でもまだ3回目。素晴らしいエンディングテーマが流れることは確かなので、また観ようと思う。
ザーッと書きなぐりました。すみません。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
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