皆さんには「青春と呼べる時」がありましたか?
僕にはありました。「あの頃は青春だった」と思ってしまうことは、恥ずかしいことなのかもしれません。
しかし、あったのです。僕には、あった。確かにあったのです。
そう。「あった」から、もう過去のことです。青春というのは「終わったもの」だと、今になって思うのです。
しかもその青春と今になっては思える時期が4回もあった、と気づいてしまったのです。
無くした青春が4回もあると感じるだなんて!なんて幸せなのでしょ。。う。
今がそうではないから、そう思っているだけなのかもしれません。
でも、その時に、聴いていた音楽を聴いてその時を思い出して、ありきたりな感傷に浸ることは許されるのではないのでしょうか。
僕の大事な青春の思い出のひとつ、それは「バンド時代」です。
バンドマンとして、ドラムなんてできなかった、中学の時に吹奏楽部でエックスの「Silent Jealousy」を吹奏楽アレンジしてYOSHIKI気取って、ドラムとピアノを演って、めちゃくちゃに終わった痛い過去があっただけだったのに「ドラム人口が少ない」ということで都合よく駆り出されたバンドマン時代です!
「フリッパーズ・ギター」にあこがれているけど、それはあまり口には出さないような、そういう集団にいて、青春の時を過ごしてしまいました!
下北沢、渋谷、新宿、名古屋、大阪、西荻窪、東高円寺、吉祥寺、いろんなところでライブをしました。
「ライブは見るより出たほうが多い」とたまに言いますが、単に出不精でライブに行かなかったのもありますが、ほんとうにそうなのかもしれません。
みんな、もうバラバラになってしまった。
その人達と集うことすら、難しい状況です。
僕は東京から、離れてしまった。
うんと離れたわけではないけれども、遠いところに来てしまった。
絶望的に長い距離を走る通勤列車の中で、田舎の風景を見ながら、かつて青春をすごしていたその街で聴いていた、その時、青春の時に聴いていた曲を、また聴いてしまったこと、悪いのでしょうか。
Rocket Shipは、アメリカのインディーズのバンドです。
Rocketship is an indie pop band formed in Sacramento, California in 1993.
と、英語のwikipediaにはあります。そうです。インディー・ポップバンド。もう死んだ言葉かもしれません。それを言葉で表すのは難しいです。しかし「インディーズ」、独立した音楽なのです。彼らはいわゆるプロのミュージシャンではありませんでした。
確か「米国音楽」という、「僕ら」に影響を与えてくれた雑誌において、バンドのキーマン、Dustin Reskeがインタビューに応えていました。
その内容は衝撃的なものでした。
「俺たちはアメリカでひどい生活をしている。ほんとうに最悪だ。でも、夢見ることは忘れない。でも夢見るような音楽を通して、俺たちの悲しみと苦しみ、クソなアメリカの姿を伝えたい」とかそういうような事を言っていました。
確かに、このアルバム、「A Certain Smile, A Certain Sadness」は、そのような、夢見る音楽です。1曲め、I Love You Like the Way That I Used to Do"
そして、垣間みえる偉大な「マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン」の影!
とても、チープだけれども、心が入っていると感じます。
メロディは、慈悲を求めるかのような、美しいものばかりです。
5曲目「I'm Lost Without You Here」
この曲をカバーした覚えがあります。懐かしい。僕はドラムだったか、キーボードだったか忘れてしまいました。西荻窪ターニングというライブハウスで演奏しました。友達のひとりユニットのサポートでした。彼は元気なんだろうか。一緒にタダでドイツに行った彼。彼は何者だったんだろうか。
そんなことがぐるぐるまわってきます。
アメリカの彼らなんて遠い国のことなのに。遠い国に感じてしまう。同じ国に僕らは生きているのに。小さなロケット船は宇宙の彼方へ消えていった。ギターのフィードバックノイズと、シンセのダダ押しと共に。そしてささやく。「A Certain Smile, A Certain Sadness」ある微笑み、ある悲しみ。
過去は美しい。
過去は変えられない。
過去から逃げても追ってくる。
4度の悪夢にうなされながら、夜を過ごすのです。
たったひとりで。
誰にも邪魔されない。完璧な空間で。