さわやかトラウマ日記

さわやかな音楽ブログです from 2004


さわやかでまえむきな人間になりたい男が
好きな「文化」を語る。
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【随筆】カウントダウン

それが始まっている。

始まってはいないのだけれども、それは心の中だけのことだから、きっと始まっていると言っても構わないのだろう。

自分自身が、カウントを開始し始めた。その事を認識しているのだから、たしかに始まっているのだ。

 

しかし、その現象、カウントダウンを実感していることは、もしかしたらまだ己が正常であるということを証明する手がかりなのかもしれない。

 

では、どうだろう。心の中の自分を「できうる限りに、素直に」してみようとする。

すると、どうだろう。心の中に「茶色いもや」が表れてその霧が心を包み込む。

僕は、心のどこかが痛くなる。心なのか、身体なのか。身体のどの部分が何というのか、わからない。人体図を見ても、わからない。胃なのか、膵臓なのか、腸ではないということだけはわかるけれども。

自分のこともわからないし、人体についても理解できていない。

 

僕が聞いているカウントダウンが何か。それは簡単だ。

それは、自分の人生の終わりを告げるカウントダウンだ。

意外と、普通でしょ?ありきたりでつまらない考えだ。

僕は「ありきたりでつまらない」ことが嫌いな人間だったのに。

それを今や大きく肯定している。

ああ、惨めだ。惨めな人間になってしまった。だから、

カウントダウンのカウントを聞き逃せず、じっとじっと、照明が怖くて点けられない暗い部屋で、ひとりで一点を見つめるようにしている。

実際には、テレビをなんとなく付けて、どうでもいい事を思ったりしている。呑気な状況だ。呑気な状況になりたいからだ。本当は、こうしてこうして自分の気持ちを他人に伝えようと、必死に必死にキーボードを打っている。

 

全てが空回りだ。

価値の無い空回り。

僕にとっても、誰にとっても価値の無い空回りだ。

誰もいない場所で、動き続けている古時計のようだ。

誰も聴いていない、くそへたくそでおっさんのストリートミュージシャンのようだ。

会社からの帰り道の駅で、くそへたくそなおっさんが、ギターを弾いてうたっていたのを見た。「きたなくそが」と身構えると、そのおっさんは、ワンコードでメロディは「ラーラーラーラー」だけで、しかも調子外れ、ずっと同じフレーズを繰り返していた。ばかじゃないのか。なぜ俺がお前のような低レベルな音楽を聞かされなければいけないんだ。くそだ。くそだ。東京のさわやかまえむきストリートミュージシャンのほうがまだマシだよ。ほんとうに長野はくそだくそだ。

さらに、駐輪場でそのおっさんはいた。ギターのケースをもって、なんとなんと、サングラスをかけていた。弁護のしようがないダサさ。なんであんな人間になってしまったんだろう。かわいそうだかわいそうだ。

僕も、かわいそうだ。心の片隅とはいえ、ここまで人を馬鹿にできるなんて。

 

そんな、馬鹿な街で。

僕は頭がおかしくなりそうなっている。

しかし、そうなのだろうか。僕はおかしくなっていない。この文章も、驚くべき速さでうたれている。大した時間はかかっていない。しかも今はメガネもしていない。メガネは嫌いなんだ。ださいから。レーシックにしたいよ。

 

もう、そのような事も、考えてはいけないような、貧しい生活になってしまった。

まだ、仕事は決まっていないけれども、どのみちここにいる限りは、もうかつてのような生活は望めない。

そうなってくると、自分はもう、全てをあきらめました〜!ルンルンなんて言いたいけれども、全くそうではない自分がいる。

また、いい生活をしたい。。

また、豊かな生活をしたい。

また、サントリーホールで海外の演奏家、本物の一流の演奏家の音楽を聴きたい。

また、ローマやらミャンマーやら、バンコクやら、そして、行ったことのないフランス、行ったことない、ところへ行きたい。

 

僕の中で鳴り続けるカウントダウンは、死へのカウントダウンではない。

そう、そう思っている。そういうふうに思わないと、本当にやらかしかねない。

 

無価値な悲しみは、無価値に消費される。

そして無価値に放置される。無価値なもの。

僕は、感情のままに、文章を綴っている。こんなことははじめてなのかもしれない。

僕には、「何か」が起こってしまったのだ。

そうだ。起こってしまった。

 

空の青さの中に、階段が続いている。

僕はそこに踏み出して、一歩一歩、階段を上がっていく。

足がおかしくなってしまった僕は、途中であがるのを止めてしまう。

途中で腰をおろす。

すると声が聴こえる。

「カウントダウンは、始まってしまったんだ。最後まで責任を果たせ」

その言葉の意味がわからない。

僕の目からは涙が溢れた。

もうずっと、毎日のように泣いているから、もう何も思わなかった。

階段から、僕は降りようと思う。

足がまだ、動かないから、転んで落ちてしまうかもしれないけれど。