何にしても、「産まれて初めてのこと」を体験するということは、良いことだと思います。果たしてそれが良いことなのかどうなのか、わからないことでも、良かったとは、思うのです。
今日は、僕のこのDEZERT TOWN(砂漠のような何もない街)で、癒やしいやしの場所「上田映劇」で映画を鑑賞して来ました。
このように、このInstagramへの投稿は開始直前だったのですが、客は結局最後まで僕ひとり。ここは、他の映画館とはちがい、長い長いくっそ長い予告編がありません。それを知らないのか、遅れて入ってくる人も、いるのですが…。
今日は、最後までひとりでした。こんなことは産まれてはじめてでした。ちなみにやはりこの映画館で「2人」の時がありました。最小記録を更新しました…。
上映開始は、マイクアナウンスなどありません!受付にいるお兄さんが、客席の後ろでそのまま地声で言います。その後、2階に上がっていく、フィルムをまわすために上がっていくところに行く音がきこえるのです!映画的!
そして、舞台の幕が開きます。「舞台の幕が開く」とはなにかの例えなどではありません。ほんとうに舞台の上にかかっている幕が自動的に開いて、そこにスクリーンがあるのです!大きい大きい。ミニシアターだなんてことばが悲しくなるくらいに。
そしてかなしい哀しいのは、いつも全くお客さんがいないということです。僕は平日に行くことが多いのですが、土日に行ったとき「混んでるのかな」「混んでたらいいな」という、よくわからない期待を持っていったのですが…。いつもの通りでした。
今日はそのような状況でした。もう来ないなと思い、靴を脱ぎ捨て、足をのばし、大体いつもそうなのですが、今日はどうどうと、そうしました。なんて快適なんだろう。でも、哀しさは拭えないです。でも、「頭」が見えない!それは重要です。とくに…身体的な特徴がある方の頭だと…ごめんなさい!!
そしてこの映画「セールスマン」は、なんとアカデミー外国語映画賞を獲った作品とのことです。ということで、これはイランの映画です。イラン人のアスガー・ファルハディ監督、イラン人の俳優、撮影場所もイラン。主演女優タラネ・アリシュスティはあの忌まわしきレイシスト!トランプ大統領への抗議のため、アカデミー賞の授賞式はボイコットしたそうです。カッコイイですよね。
イランの映画、ということで僕は興味が湧きました。みなさま、ある程度の知識があるかたならば、イランとイラクの違い、はわかりますよね?よく「イランいきたいな」なんていうと「あんな危険なところ!」とおっしゃる方がいて「バカじゃないの」と思ったりしますが、まあ近年イスラム国の件もあり、イラクと同じ、イスラムの国でもあるイランも、もう安全ではなくなったのかもしれません。
僕の知り合いで、僕を初めてタイに連れて行ってくれた方は、海外一人旅の達人でイランに行ったときの写真を見せてくれたのですが、とてもとても美しい遺跡、街、そしてイラン人が凄く親日的で、すごく楽しかった。また行きたい。と言っていたのでああ、いつか行きたい〜という国でありました。
ということで少しは自分が思い描いているようなイランの風景が見られるのかと考えましたが、これは「サスペンス」の映画だということで、そこは期待しないようにしました。いきなり、倒壊しそうなひどいコンクリートのビルから、障害者の親子たちがそこから逃げ出して、そこへ、主人公の夫婦が、急遽引越しが必要となり、知り合いに紹介をしてもらって、仕方なく短期のつもりでそこを借りた、というところから始まります。
主人公夫妻は、舞台をやっていて、それぞれに俳優もやっています。演目は「セールスマンの死」というアーサー・ミラーの戯曲です。上田映劇で古本が300円で売っていました!買えばよかった…明日行って、「ちょっと本だけほしいのです」とか言ったら中に入れてくれるかな?
そんな二人にある日、悲劇に襲われます。奥さんが、新居にて人に襲われてしまって怪我を負ってしまった。怪我は女優として致命的な顔への傷へが多く、それよりも心の傷が大きくなってしまった。怒りに震えるご主人が、犯人を探す…という内容です。
こう書いてしまうと、なんだか普通の映画のように思えるかもしれませんが、この映画の大きな事件のひとつ「妻が見知らぬ男に襲われる」というところ、そこは詳しくは映像にはされませんでした。普通だったら、襲われる場面は襲う人の顔をうつさず(目出し帽をかぶっていたり)にギャーとかあーとかやめてーーとか言うはずですが。ありませんでした。
そしてもうひとつ大きな事件、「襲った人が誰だったのか」という場面です。まるでその映画の続きのような、普通の場面で、「その人は別に気にならない」→「あれちょっと」→「いやまさかな」→「でも違うか」→「あ、あれ」→そして、あっさりとその人が犯人だとわかった。という流れがあったのです。
普通でしたら、もっとそこで大きな声を出したり、効果音を出したりすると思うのですが、あっさりサラッとわかってしまった。それが面白い、と思った思えたことが、今日の収穫でした。
あとは「イスラム教の国の映画」という事がわかっていたけど、映画の中ではイスラム教のことは全くでてこなかった。学校の生徒が男子だけだった、女性はスカートは掃いていたけど過激な描写などはされなかった。そして子役の男の子がちょう可愛かったなど、印象に残りました。
僕は、ここに映画の感想をいちいち書かなかった、東京にいたころはほっとんど映画は観に行かなかったのです。でも好きだということがわかりました。数年前の僕がこの映画を観ても、正直良さは全くわからなかった。でも、この「上田映劇」で自分比で沢山の映画を観るようになって、いろんな映画の見方がわかるような気がしてきたな、と考えたことも収穫です。
今後の上映スケジュールも良い感じです。
「ブランカのギター弾き」
イタリア映画ですが、なんと日本人、長谷井宏紀監督で舞台はフィリピン、そしてベネチア国際映画祭の出資で作られたという、なんともまあ羨ましいああ私のベネチア…という感じなので楽しみです!
そしてもうひとつ「バンコクナイツ」
ああ愛しのわたしのバンコク!BKK!行き成り観たことのある風景!タニヤ!シーロム!なつかしい(涙)もうこれだけで行く価値があります!
観たことのある風景をこの映画で見たこともありました。
これも同じような気持ちになるのでしょうか。新宿よりも確実に遠い遠いバンコク。パスポートも失くしてしまった。そして新宿も遠い遠い。哀しいですね。機会損失をしていると思います。機会損失というのは、会社がなにかできるのにやらなかったから儲からなかった、というビジネス用語ですが、僕にもあてはまります。機会損失!地方格差!ああ、そんな感じです。とりあえず、映画館に行く楽しみが増えた、ということは僕にとってはよかったことです。
と、いうことで…ながのは…くそ!!だけど上田映劇だけは最高です!!
おわり