さわやかトラウマ日記

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【映画の感想】「DESTINY 鎌倉ものがたり」期待はずれ以下!見る価値なし!

kamakura-movie.jp

今日は、前から見た、くなくて、見たくなくて仕方がなかった映画「DESTINY 鎌倉ものがたり」を観に行ってきて、しまいました!

詳しい顛末は前にも書きましたので御覧ください。 

maemuki.hatenablog.com

なんとこの記事は9月に書いています。ずっとずっと「見たくない」「見たくない」と思っていたなんて。メンタルによくない。だから病んでいるのかも!?

 

でも、すっかり忘れていました。それはここにも何回も登場している、奇跡の100周年を迎えた映画館「上田映劇」のおかげです。こちらは、若き支配人の方がセレクションをした単館系の映画ばかり、流している素晴らしいところです。本当に良い映画ばかり観られています!良い映画生活を送れています。

 

この「ですてにー(いらない)鎌倉ものがたり」は勿論ここでは上映されていません。だから久々、「君の名は。」以来にシネマ・コンプレックス、映画コンプレックスTOHOシネマズに行きました。

今日は、TOHOシネマズは「映画DAY」だったらしく、1100円でみられました。毎月14日はその日のようです。でも「上田映劇」はなんと毎週火曜はメンズデー、レディースデー、1000円で観られる日があります!!凄い違いですよね。

この映画を思い出したのは、この前上京した時です。新宿駅にこの映画の大きな掲示がされていたのです。そこにはこう書いてありました。

「時空を超えた、冒険ファンタジー

……嫌な予感は全て当たった、そう思いました。その後に公開された予告編を見ても「あちゃー…しねばいいのに」としか、思いませんでした!

それでも観に行ったのは、僕が原作「鎌倉ものがたり」そして原作者の西岸良平先生の漫画をずっと小さい頃から読んでいたからです。

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西岸良平先生の作品が実写映画になったことがありました。この時です。

maemuki.hatenablog.com

13年前!の記事です。今、見返したのですがこんな事を自分は書いていました。

西岸良平先生とはいえば、その可愛いらしげな人物、絵に反してグロい話という
イメージがあります。どうせ映画化するなら毎回残虐殺人事件がおきまくりの
鎌倉ものがたり」とか昔のグロ短編の設定を
活かして映画化とかのほうがよかったんじゃないかなー

 

 13年前から同じことを考えていたのです!どうでしょう。こんな気持ちで、今日はこの映画に見に行ったのです。

 

ちゃんと見たら、本当は面白いと感じられるのかもしれない。そう期待は…していませんでした。事前に前の記事で予想していた通りに日本テレビの単なる宣伝番組「火曜サプライズ」で堺雅人高畑充希と行く!鎌倉グルメツアー!」みたいなをやっていたのです。

内容はいつもの通りのアレ、でしたが、一つ気になることをキャストが言っていました。ウエンツ瑛士が二人に「鎌倉のロケはどうでしたか?」と聞かれて、堺雅人高畑充希は言葉に詰まっていました。「ロケは夜が多かった」という話をしていました。

実際に、映画には夜の場面が多かった。なぜそうなったのかは、わかりません。

 

それでは感想を。

◯人物描写の浅さ、原作を読んだことが無い人には辛そう・・

映画は「主人公2人の新婚旅行帰りの車の中」の風景から始まります。運転するのは堺雅人演じる、一色正和です。まず!ここでアレ?と思いました。一色センセイって、車運転してたっけ…。あんまりそういうイメージはありません。鎌倉は渋滞が多くて、移動は江ノ電とか、そういうものしかないからだったかも、なんて思っていたら、後に、同じことが映画の中で、説明する場面がありました…。

一色センセイが車を運転する場面は、ここだけ、でした。後に映る一色家の家にも車はなかった。まあ、別にいいでしょう。

車は湘南のあの海沿いの道路をすすみ、鎌倉の名所の前を通ります。「ああ〜鎌倉ものがたりだからな〜鎌倉観光きぶんも味わえるのか!?この映画は」とちょっと思いました。が、そのような場面は、最初のここだけ、でした。

 

その後、二人のあまいあまい新婚生活が始まりました。そして堺雅人の独白でふたりの馴れ初めが話されるのです。ええ?と思いました。それだけなのです。僕は原作を読んだので、二人がどのように出会って、どのように結婚をしたのかわかっています。これは、夫婦の物語、出会いのときから「ものがたり」が始まっていたのに、そこはハショったんだ!と気づきました。

原作「鎌倉ものがたり」の出会いの場面は、出版社のアルバイトの短期大学の学生亜紀子とが、仕事で原稿を受取りに、一色センセイの鎌倉の家に行ったことから始まります。亜紀子はミーハーなので、「鎌倉の一軒家の小説家だなんてステキかも?ウキウキ」なんて思って行ってみたら、ものすごいハンサムの一色センセイがでてきて、一色センセイも亜紀子の天真爛漫さにひかれ、結婚をします。そのような行が全て省略されて、いきなり新婚旅行の帰りの場面から始まってしまった…。

出だしからこうでした。

 

そして肝心の「殺人」は1人だけ。大したことない感じで扱われていました。原作では「殺人」が主なテーマです。「魔物」では、ありません。

◯キャスティングは「まあまあかなあ」と感じました

この後は、原作通りに話は進んでいきました。「なんか違う」と思っても、それは想定内でした。贅沢というものです。原作を重ねてはいけない。何から何まで、同じというわけにはいかない。それくらいわかっているのです。

でも、やっぱりちょっと違うな、というのをキャティングに感じてしまいました。ヒロイン亜紀子役は高畑充希でした。彼女なりに、原作を理解して、近づこうと頑張っているのはわかりました。髪型も同じにしていました。でも、亜紀子はもっと、明るい子なのです。演じるだけでは出ない、キャッキャッした感じ。それは「とと姉ちゃん」の彼女でもなかったこと、必要がなかったことです。今回はちょっと違うな、と感じました。

僕は個人的にこの役は元フジテレビアナウンサーの同じ名前「八木亜希子」が適役だ、と思っていたのです。しかし彼女は当時フジテレビのアナウンサーでした。そしてその後、女優になってしまった。でも亜紀子は20代なのです。ああそれはもう叶わない。

そんなことを思ってしまってすみません。でもずっとそう思ってきたのです高校生のときから…。

一色正和を演じた堺雅人も頑張っていました。こちらも髪型は完全コピーをしていました。すごく頑張っていると感じました。今、現状で一番、企画側にとっては魅力的なキャスティングです。「数字持ってる人」の最もな人なのです。彼を目当てに来る人もたくさんいるのでしょう。映画は興行が大切なのです。テレビとは違う、お金を払ってみるのものです。だから、彼以外に現状は適役はいないと感じました。

しかし、この映画には脇役として堤真一がでてきました。彼は「オールウェイズ三丁目のゆうひ」にもでていました。この映画では、一色センセイの担当の編集者の一人で登場しました。登場してきた瞬間に、こう思いました「一色正和役がこの人だったらよかったのに」なんて、僕だけだと思います。粗野なイメージがある人ですが、堤真一日本テレビのドラマ「スーパーサラリーマン左江内氏」において、実の彼自身は全くさえない感じはないのに、役で「冴えない左江内氏」を見事に演じ、原作の「藤子・F・不二雄」感を出せていたのです。そんな彼だったら、一色先生を原作イメージそのままに演じられたのかなあ、なんて思ってしまいました。

 

脇役の方たちはみなさんさすがと感じました。特にさきほど挙げた堤真一、途中でカエルになってしまうのですが、あの中に入っていたのかはわかりませんが、僕の席の後ろに座っていた女子たちが、最初に笑ったのは、カエルの彼が変な声を出した時、でした。

そして鎌倉署の警部「伊成さん」要潤が演じていました。伊成さんは稲荷さんで、正体はキツネです。だからおいなりさん大好き!最初は普段の「うどん県知事」のようないつもの面持ちでしが、その後CGで「鼻だけキツネ化」をして、操作のために匂いをクンクンします。その場面で、また後ろの女子たちが、笑いました。笑ったのはそれで、最後でした。

また死神役は安藤サクラでした。これはキャスティングの間違いだと思います。普通に若い男性でよかった役です。彼女にはもったいない役でした。ユニセックスな感じを出せていたのはさすが、とは思いました。

開かない口もふさがらない!ひどい「黄泉の世界」とエンディング

この後、いろいろなんだかんだあって、一色先生が黄泉の国(死んだ後の世界、キリスト教で言えば天国です)に、死んだ亜紀子を取り返しにいくのです。

黄泉の世界は、「心の中の理想郷」がそのまま見える世界、ということです。ほんとうに天国のようなところです。なので、死んだ一色先生の父と母にも逢える。そしてあっけなく亜紀子とも再会してしまうのです。しかし、強い強そうな魔物が亜紀子を囲っています。そしてなんと前世で亜紀子そのその魔物は結ばれていた。全ては輪廻転生だったのです!しかし、いつのまにか、一色先生と亜紀子は実はその前か後かは忘れましたが、結ばれていたのです!!

「亜紀子に初めて会った瞬間から、僕は運命を感じていたよ」と一色先生は言いました。前述のとおり、その場面はこの映画では、描かれませんでした

 

そして、その世界から抜けて、現世に帰れば、全てが元通り。だからそうしたい。どうすれば??ここは黄泉の世界です。そうです。「願えば叶う」のです。

だから、一応は魔物と戦います。黄泉の世界は全てCGで表現されています。すごいです。「ファイナルファンタジーみたいだああ」と思いました。実際にそうです。CGを使った映画が凄い!だんて、もう誰も思わないと思うのですが、この映画はそれが売りのようです。アクションシーンも、CGが相手です。だから、血もでない。

しかし、追い詰められます。でも「信じているから」窓から谷底へ落ちるのです。でも助かります。「信じていればきっと叶うから」です!!

 

そして、映画は終わります。

 

老舗映画サイト「破壊屋」さんにおいて、「最近の映画は”信じていれば全部叶う”で映画が完結するうようなものばっかりだ」と書いてあるのを見た覚えがあります。

この映画も、最後は、それで全てを完結させていました。性善説に基づいたものなのかもしれません。

でも、原作はそのような漫画ではありません。そして、壮大なCGを見ながら僕はあることに気づきました。

「鎌倉」はどこにいったんだろう?

 

この映画は「鎌倉」がテーマ。大きなものです。原作もそうでした。自分が知らないような鎌倉の魅力がたくさん紹介されていました。しかし、鎌倉だけではなく、人間の汚い心も描いていました。そうです、主役は「人間」です。欲望、憎しみ、羨望、金銭欲、恨み、悲しみ、そのような人間の姿もみせてくれました。創作において、欠かせないテーマです。

この映画は「悪いのは全部魔物のせい」そして「信じていれば必ず叶う」という幼稚な正義だけの映画にように思えました。

ポータルサイトの映画レビューではこの映画に「感動した!」「夫婦の愛が伝わりました」「涙がとまりません!」みたいな評価が溢れていました。

 

なんて安い感動なんだろう。だから僕は、はっきりいいます。

「期待はずれ以下!!見る価値なし!!」

 

終わり