さわやかトラウマ日記

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【映画の感想】全員死刑 小林勇貴監督「勇者」「貴族」の名の元による誠実なまでに連続殺人を描写した映画!

先日東京渋谷アップリンクにて映画「全員死刑」を観ました。

 

全員死刑」の存在を知ったのは、小林勇貴という「勇者」「貴族」と一旦名前を打たないと変換がされないという刹那の名前に惹かれた、ということ。お父様とお母様はどのような意図で名を節したのかしら??ふつうに勇樹とか悠希とか優希や勇気有期誘起幽鬼柚姫などでは駄目だったのでしょうか??

そして「おフランスの映画祭でフルチンパフォーマンスをした」という事実に惹かれた、それは改めてフランスが持つ変態性、性やいろいろな事への許容、ダイバーシティを感じさせることだと思ったのですってフランスかよ!

決して全員死刑という言葉の持つ魅力に惹かれたわけ、でした。「全員死刑」だなんて、なんてロマンティックな言葉なんだろう!

しかし、わかりやすすぎるというきらいもありました。そこでもっと「全員死刑」を勉強したいと思い、原作となっている、この本を買いました。

 「ヤクザと原発などで知られるライター鈴木智彦による、ルポライティングの本です。「全員死刑」と元になった大牟田市4人殺害事件の犯人の一人、全員死刑になった家族の次男が、死刑判決出た後に書いた手記を元にした本です。

これは「事件を面白がっている」本などではありませんでした。

 

全員死刑一家は、全員ヤクザでした。

父親は組長。長男もヤクザ。次男もヤクザ。次男ももちろん逮捕歴受刑歴もありのヤクザ、自称札つきの不良!そして母親もヤクザ。一家全員でシノギ(※ヤクザの金稼ぎ恐喝恫喝売春斡旋薬物売買など)をし、そして一家全員で4人をわずかな間で連続殺人をした、という事件が基になっています。

そんな話が実際にあった、そして当事者がそのことについて書いた文章があった。それをただ本にした本では、ありませんでした。

鈴木智彦氏は、この本を出すにあたり、客観的な視点を持つようにし、そして次男が書いた文章や状況が本当であったのか、という検証を実際に大牟田市へ向い、家族の知り合い達、殺された被害者の関係者などに取材をしたりしているのです。

次男が書いた文章は、やはり頭がわるそうに見えるのです。が、ちょっとやはりおかしいのです。連続殺人を起こした時の状況は、もちろん「おれはやつの首をめちゃくちゃしめた!」「むちゃくちゃ快感を感じたヨ!」みたいなアレな感じなのですが。

実際に人を殺した状況などが詳しいのはわかるのですが、僕がちょっと気になったのは、「夜に◯◯通りのコンビニに寄ってお茶と弁当を買った」「どこどこの自販機でコーヒーと父へウーロン茶を買った」「ビールを買った」「どこどこでタバコを吸った後に缶コーヒー」みたいな事が、たくさん書かれているのです。なんでそんなことを覚えて、でたらめかどうかもどうでもいいことですけど、僕はそこがすごーく気になりました。

この本「全員死刑」はとてもおもしろかったです。手記が主体で、手記は捕まったところまでの記述しか無かった。なので、この本にはその後の裁判での一家の明らかにおかしい挙動などは、書かれていなかった、そこが逆によかったのです。これはノンフィクション。虚を書いていけないんだと気づきました。

 

映画「全員死刑」なぜこれを小林族さんは映画化しようとしたのかな、と思いました。彼は「地元しずおか県富士宮市の不良達」を主役で出演もさせた自主制作映画だけ!を何本か録り、それが評価されて、今回は初の商業映画だということを知りました。

しかし初の商業映画が「全員死刑」という眩暈がする事実、良いめまいですが。。

 

長くなってきたので、実際に観た感想を箇条書きにて記します

  • 渋谷アップリンクは松濤にある
  • 梅宮アンナを産み出した狂気の地!
  • 当日はサービスデイ、性別不問!で1100円!
  • だからか満杯、直前にインターネットで手配して間に合いました
  • 椅子はラグジュアリーなキャンプのような…グランピング!女性誌みたい…
  • しかも隣りの席は、おひとりさまのおしゃれ美人!
  • 「アンアン」「ヴィヴィ」とかに全員死刑が載ったのかしら…
  • 間宮祥太朗主演ということだったけれど、この日いたのは明らかにサブカルあがりの男女!
  • 冒頭はインターネットで無料配布をしている、著作権の切れたクラシック音楽
  • 冒頭は、本にはなかった、「のぞきパブ」で女子高生風の可愛い美人な女性たちが官能てきなポオズを取り、それを覗くいやらしい中年男の描写から開始
  • 可愛い女子高生の撮り方はうまいと思った。なんとなく、さすが!と思った
  • その後、主人公の次男と長男が出てきて、安心の脅し恐喝強奪
  • その後は、原作のとおりに筋が進んでいく
  • そして、最初の殺人!!!父親の依頼で金庫強奪!失敗したら殺人!
  • 兄弟2人で、ターゲットの家に、行くと、当人はおらず、その友達がいた。これは原作どおり
  • でも、その友達が「ユーチューバー」だった!!もちろん原作にはなし。しかも生中継中!
  • そして「カレーを入れたカレープールに飛び込む」というあまりのくだらない内容について、兄弟達がぶちギレ!
  • 「なんでこんなくだらねえことやってんだよ!」という言葉にユーチューバーは「みんな、自分よりバカなやつ見たら安心するんだよ!
  • 僕は感動しました。ユーチューバーの本質を見抜いていると思う。
  • 殺されても仕方ないんだ
  • なんて、思いませんよ!!!
  • でも、殺されました。そして金庫も発見。
  • でも金庫の中身は予想した何千万ではなかった。。。
  • 金庫を開けるための四苦八苦「友達に機材を借りたるらぁ」というのは原作どおり!
  • 全体に当然の如く、静岡弁がかつようされていた。原作は…大牟田市なのに!
  • その他、無慈悲なまでの喫煙シーンが多い。これは最近見たごく最近の外国の映画でも感じたこと。
  • その他、印象に残ったのは、小人症の人が出ていたこと。得に小人症であることについての言及はなし。
  • 小人症の人が、後半、性的な描写、もちろん隠す、何らかの理由で包帯ぐるぐる巻きの状態になっていた、それでも性を満たす為に必死に努力をするさまも。
  • やはり、ジョン・ウォーターズを思いだしてしまう。
  • 彼とジョン・ウォーターズに共通すること、それは「地元の故郷が舞台の映画ばかり撮っていること」そしてダイバーシティへの理解があることなのかもしれない。不良やヤクザや夜の商売もマイノリティの一員なんだと思う。
  • 富士宮市は、メリーランド州ボルチモアジョン・ウォーターズの映画は全部メリーランド州ボルチモアがぶたい)なのか??
  • そして、エロスというもの、原作にはなかった。「オンナ」は沢山登場する。兄弟ともに、オンナには不足していなかった。
  • しかし細かい描写はなかった。殺人の間にまたされて、イライラしているくらい
  • それが、ノンフィクションとしては仕方がないけれども、足りないところだった
  • 僕がこの映画で一番感じたのは、そこでした。
  • その他、殺人やヤクザ暴力団てきな描写は、思ったよりも「普通」でした。
  • 間宮祥太朗くんは、頑張っていました。しかし、彼の狂気は「女芸人グランプリ」で見せた怖ろしい様よりも出ていなかったと感じました。でもそれは、彼が役者だからなんだと思います。
  • でも彼がそのような人物かもしれないということを事前に見抜いていたかもしれない監督は凄いとも思いました><
  • 最近、唯一観た商業映画「DESTINY鎌倉ものがたり」と比較してしまう
  • あの映画とこの「全員死刑」に共通していること、それは誰もが褒めていること
  • でも、質は全然違うと感じました。
  • 片方はそれをばっさり削除して、片方はちゃんと誠実にそれを表現した。
  • 「DESTINY鎌倉ものがたり」は原作マンガ「鎌倉ものがたり」にあった、重要なテーマ「殺人」をばっさりといってもいいほどに削除(一人殺されたけど)し、監督のCG趣味を活かすため、そして観客動員をするために、有名な俳優を主演に起用し「夫婦の運命的な愛!感動の冒険ファンタジー」に仕立てあげて、それが大衆たちに支持された
  • 全員死刑」は、原作の信じられないけど現実に起こった一家四人が全員死刑になった連続殺人事件をその通りに描写し、原作にはない重要な部分も足し、そして映画にした。全国上映にはならなかったけれども、支持する人は多かった。そしてに何よりも商業映画で「全員死刑」というタイトルとテーマで映画を公開した
  • 日本の映画界の作品全てを見ているわけではないけれども商業映画の質の低下は年々低下の一途を辿っているように思う。壁ドン顎クイアイドルイケメンシャッフル原作都合のよい商業主義改悪!
  • デステニーなんとかはその象徴なのだと思います。
  • そして「全員死刑」は良い象徴だと信じたい。
  • でも、日本の勇者貴族さまに映画界を変えて、なんて思いません!
  • やつらに何を言ってもわからなさそう、だから作品で反攻するしかない!!
  • まだ監督は20代なのだから、自由に好きにやってほしい!
  • 何かあったら、とりあえず・・「全員死刑!!!」これで良いでしょう。
  • おわり!
  • 全員死刑!!!