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橘いずみ(現:榊いずみ)高校時代からリアルタイムで聴いていた思い出のアルバム達をレビューします

僕が、高校生の時、もう今から20年以上も経ってしまいましたが、その頃にとても好きだったアーティスト、橘いずみ、現在は結婚をして榊いずみとして活動をしています、そのアルバム達をレビューします。

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高校生の時、僕は一人暮らしからスタートをして、その後姉妹と暮らすようになりました。高校の時は、今にして思うととても幸せな時だったと思い返します。最悪だった小学校途中からはじまった長距離バス通学がなくなり、自転車で学校まで行けるようになった、吹奏楽部に引き続き入り、指揮者として実質3学年で活動をした。友達も、そこでできて、クラスでもそのうちに打ち解けていました。そんなに悩むことなどなかったはずです。

が、僕はずっと悩んでいました。そして今でも同じように同じことに、悩んでいます。そういう事はみんなそうなのかもしれない。でも僕は違うのです。普通の人と。橘いずみの歌の世界に、救いを求めていたのかな、と気づきました。

 

彼女の声は、いつも泣きそうな声をしている、というのがはじめの印象でした。 

君なら大丈夫だよ(1992)

君なら大丈夫だよ

君なら大丈夫だよ

 

 この頃、中学生のころから引き続きラジオをよく聴いていました。ニッポン放送。長野でも聴くことができました。チャンネルは1242。FMは聴取できず、AMが主体でした。が、なぜかニッポン放送が好きでした。そこで橘いずみのデビュー曲「君なら大丈夫だよ」が流れていました。この曲は、明るいタイトルのよう、でも「君なら大丈夫だよ」と他人に言われている曲なのです。だから悲しい曲なのかなあ、と解釈しました。声が泣きそうだからです。でも、そうとは限らないような気もしていました。この時はラジオで聴いただけでした。アルバムは、その後に買いました。

君なら大丈夫だよ そんな言葉に揺れて

笑って応えるけど 何もかもに潰されそう

 どんなに打ちのめされても(1993)

どんなに打ちのめされても

どんなに打ちのめされても

 

このアルバムに入っている「失格」


橘いずみ 失格(ロングバージョン)

彼女の代表曲といってもいいでしょう。

www.kasi-time.com

はじめて聴いたのはラジオでした。印象に残ったのは、早口で今まで女性の歌手では聴いたことのないような、焦燥感に溢れたリアリズムに溢れた皮肉で、誰かを責め立てているような歌詞です。「車ではねられた人を見過ごしたことがあるかい?」「社長の意見が必ずしもが正しく思えない」「誰かの喋る言葉で心なんて弾まない」「明るく元気だけが取り柄の女になれない」「車にはねられた人を見過ごした事があるかい」「酷い仕打ちに泣いたとしてもしても夜はゲラゲラテレビ漬け」という言葉が続き、こうきます。

あなたは失格 

そうはっきり言われたい

生きる資格がないなんて憧れてた生き方

センセーショナル、という古い言葉になりますが、この曲はそう語られていました。ラジオでも、衝撃の曲だと。同じソニー電気グルーヴピエール瀧が「夜の渋谷で待つのは好きじゃないの」(『失格』の歌詞からです)なんてソニーのパーティーで会った橘いずみに話しかけた、なんてオールナイトニッポンで言っていた記憶があります。

そして、この曲でゴールデンの歌番組にも出ていました。たしかフジテレビで古舘伊知郎が司会の番組でした。そこで、はじめて橘いずみをテレビで見ることができました。彼女がこの曲を笑顔で歌っているのをみて、また衝撃を受けました。その後も笑顔で歌っていました。そんな曲なんだ、と思いました。人間っていろいろなパターンがあるんだな、と。しかしこの曲が持っている力は、相当なものです。こんな曲を作る人は、後に表れなかったからです。

このアルバムは、その後のアルバムのほうがよかったので、余り聴いていませんが、1曲目の「打ちのめされて」 はアメリカンロックの面持ちがあり、この時は意外な一面を感じました。80年代っぽい香りがするのはプロデューサーの影響だと思います。

太陽が見てるから(1994)

太陽が見てるから

太陽が見てるから

 

 

もう覚えていないのですが、この「太陽が見てるから」からリアルタイムでアルバムを買いだしたと思います。先行シングルの「バニラ」ミュージックステーションに出たのを覚えています。リハーサルでこの曲を聴いたタモリが「なんでこんな曲を作ったの?」と聴き、橘いずみ「ばかやろう!って言いたかったんです(笑)」言ったのを覚えています。

 

www.youtube.com

「バニラ」は「失格」の延長線上にあるような曲に思われていますが、全く別の曲です。「失格」では感じられなかった、女性としての向きが見えています。ひたすら鬱屈をした女が、相手にたいして不満を吐き出します。甘くてとろけるけど、かならず溶けるアイスクリームのような心「私」にたいしても、関心をもってくれない。ほんとうにごめんなさい。どこか愛することに罪を感じているような節もあります。なぜいけないのでしょうか。わるいことではないはずなのに。でも、ほんとうにごめんなさい。自分をかけあわせていそうですが、僕にはそういう経験がいっさいありません><

もうたくさんもうたくさんもうたくさん。エコーで響き渡る叫び。まさに、ばかやろうです。

この曲のアルバムを代表する曲のひとつが「太陽」です。

ねえどうかあなた死なないで なんでもいいから生きていて

この強烈な、でも優しい歌いだしから始まります。いわゆるバラード、壮大なバラードなのかもしれません。しかしこの曲はそのような括りには囚われない、生きることの苦しさ、そして素晴らしさ、愛すること、などの人間としての渇望が、込められています。サビの歌詞、「もしも飛べたら、あなたの空を隅から隅まで飛び回りたい」このように、謳われているもの。すべてを見られているもの、そのものの言葉は、この曲の歌詞にはでてきません。でも、タイトル、そしてアルバムのタイトルには、あります。

「太陽が見てるから」太陽はいつも自分を見ている。いつも空にある。曇った時、見ることができないときも、太陽はいつも自分を見ている。見ているから。太陽だけは。

そんなことを、いつも感じて聴いていました。僕の「太陽」はいまだにみつからないけど。太陽は見ているから。そう思います。

 

このアルバムでもうひとつ外せない曲、それはやはり「サルの歌」です。

シングルとしてもリリースされたこの曲は、いまでも僕の心のきえないものになってしまいました。


Izumi Tachibana - Saru no uta

 

淋しくなんかないんだよって 泣いてるのが子供

淋しい つぶやいて 涙隠す大人 

 

孤独が好き 一人が好き それは強がり

壁を作って 気取ってみても

私はここ 忘れないでと 叫んでいたよ

愛されたいと 思っていた 本当は 

 今でも、橘いずみの曲を毎日聴く、ということはあまりなくなりました。

でも、ずっと心にこの歌詞が残っています。いまもずっと同じことを思っているからdす。僕はあれから、いろんな人と出会いました。大切なつながりもできました。でも、ほんとうの「太陽」といえる人には、まだ出会えていません。何もかわっていない。高校生の頃から、そう気づいてしまうから、彼女のうたを聴くということは、本当は辛いのです。

話が前後してしまいますが、進学のために上京後、橘いずみのコンサートを渋谷公会堂で見ることができました。席は2階席の一番うしろでした。でも僕は「太陽」と「サルの歌」を生で聴いて、圧倒されてしまいました。部屋でひとりでいる時のように、泣きはしなかったかどうか。正直覚えていません。圧倒された、その事だけは覚えています。この動画は「ミュージックフェア」のもので、これはリアルタイムで見た記憶があります。こんな生々しい歌が、テレビで聴けることはもうない、と思います。僕にとっては、そうです。他の情念系アーティストと彼女は違う、と僕は思います。

こぼれおちるもの(1994) 

こぼれおちるもの

こぼれおちるもの

 

 ドラマ「この愛に生きて」(主演は安田成美と岸谷五朗)の主題歌になった「永遠のパズル」がヒットをして、一躍橘いずみはメジャーになった、と感じたことがありました。クラスで「永遠のパズル」が話題になっていたのです。たしか「中島みゆきみたいな曲だったね」みたいな感想でした。まあ、そうかなーと思います。早口でまくしたてた後に「でも、できない!」と叫ぶところは、やはり壮絶です。うたいあげるところは中島みゆきのようと思われても仕方ないかな、と思いました。

そしてこのアルバムは、強制送還された山奥の別荘になぜかありました。僕のものではないと思います。父が買ったのでしょうか?謎です。「橘いずみ好き」というのは、親も知っていました。また聴いてみて、「この曲が聴きたかった」という曲がありました。それは「砂場の太平洋」と言う曲です。

風に吹かれて 真夜中のホームで

ひとりぼっちの東京 涙が止まらない

 

薄暗い部屋の壁にもたれ 一晩中歌を聴いた

街の灯り消えていく中 私を照らす光探してる

 この曲のこの部分が、ずっと頭から離れなかった、のです。ひとりで、くちずさんでいました。橘いずみの曲のはずでしたが、どの曲がわからなかった。そんなことを、長野の山奥の別荘でひとりで聴いて、まっくらな部屋で、聴いてしまいました。なんて、おかしいんだろう。笑えないけど。別荘なので、大音響で、聴けました。おかしくて。涙が止まらなかった。

そしてラストを飾るタイトル曲「こぼれおちるもの」

すくっても すくっても こぼれおちてしまう

あの時、この曲をどんな気持ちで聴いていたんだろう。今になって、今になって、よくわかるようになってしまった。そんなことにも気づいてしまいました。すくってもすくっても砂のように、いろんなものが、こぼれおちてしまった。そんな繰り返しだけの人生だった、と自省しました。そうです。自省です。もうこぼおちないように、すればいい。でも、砂はこぼれおちてしまう時もある。すくってもすくっても。こぼれおちて、しまう。のかもしれません。

十字架とコイン(1995)

十字架とコイン

十字架とコイン

 

 ロックテイストが強くなったアルバムです。ライブ活動が盛んになった影響があるのだと思います。女性らしさと社会風刺が強まった、面白いアルバムだと感じました。ラップ風の「スキンケア」がその象徴なのかもしれません。そして「にらめっこしましょ」はウィスパーにただよう焦燥感が橘いずみらしい曲かな、とも思います。

「かじりかけの林檎」はここまで読んでくれた人なら勘付いたかもしれませんが、好きな曲です。直接的ではない、悲しげな物象の描写から、じょじょに心中に迫る、静かな曲です。

かじりかけたまま 置き去りの林檎

待っている他には 何一つできない

 

空が暗くなり 雨が 振りそうだ

この街のどこかで 泣いてるあの人 私を呼んでる

 

今でも、空が暗くなり、雨が振りそうに成ると、この曲を思い出します。 どうしてもやるせない時、そういう時は誰にでもある。そう言い聞かせながら。最後は、物事の描写だけで終わる曲です。全てを見つめて、ただそこにあるものを見つめるかのように。

「十字架とコイン」は「ユキ」という人間の人生を歌ったものです。ストーリーになっている歌詞は珍しいと思います。すごく合っています。ひどい人生を歩むけれども、空を見上げていた、ユキは強い女。「カズ」という男も、同じように、ひどい人生になってしまった。ひとりぼっち。父を恨んだ。ありふれた道をいったりきったり。そしてカズも見上げるのです、大きな空を。

夢を見たい。夢を見続けたい。人生に成功をしたい。もっともっと幸せになりたい。いつか遠くへ行きたい。そんな、見も知らぬ人物たちの歌です。

しかし、カズ、らしき人が激昂します。ほっといてくれ!しかし十字架を見て、思い直します。大事なことは「愛することと愛されること」乾いた時代の砂利にはならない!強いまっすぐなメッセージです。ありきたりなのかもしれない。それでもただまっすぐな強い気持ち、ここにはある。素直にそう思いました。

このメッセージをただ受け取ればいいんだ、と僕は思いました。素直に。十字架とコインが、ここにはある。

ごらん、あれがオリオン座だよ(1996)

ごらん、あれがオリオン座だよ

ごらん、あれがオリオン座だよ

 

 大人になったんだ、と当時思ったのを記憶しています。そしてこれまでの集大成的なものなのかな、と。「HELLO!HELLO!」は火事を目撃した体験談を友人に告白するような、内容です。「やあこんにちは元気そうで安心したよ よかった〜」のモチーフは後の曲、「26-Dec.11th,1968」でも使われています。でも曲調はまったく違うので、面白いなと。「HELLO!HELLO!」は楽しそうなのに、どこかとても哀しさが感じられてしまう、そんな曲です。人と話していて、このような複雑な気持ちになることもあるよな、と思いました。友情というものは、時として重くなるけど、友情は友情。のような、感情を感じました。

アルバム・タイトルの「ごらん、あれがオリオン座だよ」のフレーズがでてくる「アマリリスは唐突な気がする正統派のラブソングです。とても切実な気持ちのこもったラブソングです。この曲調とは違っても、このアルバムはストレートな感情がこもったアルバムだと感じています。すこしサウンドに行き詰まりも正直感じました。

 

僕が橘いずみを追ったのはこのアルバムまで、でした。

今ではご結婚をされ「榊いずみ」として活躍をしてる彼女。今の活動は追って無くてもうしわけないけど、ずっと心の中で彼女の曲は僕の中で生きています。

 

ここで終わりにするはずでしたが、「失格」に関して、思うことがあったのでここに記します。

榊いずみとmiwaが「失格」でコラボレーションをしたこと

フジテレビの歌番組の特番で「コラボレーション」「スペシャルコラボ」みたいなものをよくやっています。非常にたいくつでつまらないのですが、そこで榊いずみとなんとmiwaがあの「失格」でコラボレーションをする、ということを聞きつけ、見ました。

miwaといえば、いつもにこにこ、あかるくげんき!あかるくげんきが取り柄が芸風という印象でいた。よりにもよって、彼女が「失格」とは!!

「自分の言いたいことを私は何も言わない」「自分のやりたいことを私は何もできない」のような曲をmiwaが歌うなんて。

この動画は、特番ではなく、その前に「僕らの音楽」で初共演をしたときのものです。「自分の言いたいこと〜」の下りは榊いずみが歌っていましたが「明るく元気だけが取り柄だけの女にはなれない!」のところは歌っていました!

そして、miwaの歌声は別人のようです。いつも明るく元気だけが取り柄の女ではない。ほんとうは、こういう歌を歌いたいんじゃないかな?そして「あなたは失格!」のところも、叫ぶように榊いずみと歌っています。

でも、この前に見たmiwaの新曲では、いつもどおりでした。でも僕の彼女を観る目は変わりました。この曲をテレビで2回も榊いずみと歌った。すごいことです。できれば「失格」のカバー、もしくは、本当の姿を自分の歌で晒してほしいのです。榊いずみのように!!

 

終わり