会社は都会の真ん中にある。今日も自分の仕事もなんだかイマイチだった。
いつもの割り切れない思いを抱えながら、駅へ向かう。昼間は青空だったのに、いつのまにか雲が広がって、しかも季節は春なのにとても寒い。人工的なビルと偽物の緑と灰色の空が同化して見える。寒い。
ふと昼間にyoutubeで聴いた曲の歌詞を思い出した
青い空が消えていく
寒い 寒い夢の中
光/GE/NJI/荒野/のメ/ガ/ロ/ポ/リ/ス - YouTube
歌詞→http://www.uta-net.com/song/6252/
光GENJIがどれだけ凄かったか、もう散々語られ尽くされていると思うので、割愛するが、人気も凄かったけど、人気が引くスピードも凄かった。この曲は8枚目で1990年リリースでオリコン1位とのこと。全然知らなかった。
作詞、作曲は飛鳥涼。「STAR LIGHT」「ガラスの十代」の作者である事は改めていう必要もないけれどこの曲でひさびさに曲提供をしたらしい。
「すごく良い曲だな」と思ったけど、歌い出しの「青い空が…」の歌詞の下りがあまりに悲しい。メロディも悲しい。そこが胸に止まったのを思い出した。
まるで絵のような都市
霧雨降るメガロポリス
日めくりが底を付く
いつか風もない
まるで自分の歌かも…今でもこんな事を思える自分の「中学生力」って我ながら凄い。
音楽は切迫感のある細かい音符のアレンジで、殺伐というよりももう途絶えてしまいそうな、最後の力を振り絞って争っているようなイメージ。
誰か愛を投げて 夜を止めて 愛を投げて 光ごと
誰かに救いを求めるメッセージはシンプルながら胸を打つものがありますね.
でも「誰か愛を」だから、具体的な「誰」ではない。誰?
後半、SFのアニメ映画のラストシーンのようなドラマティックのサウンドの中から、聞き覚えのある「あの人」の声が。「Oh Please」と歌う。やはり素晴らしい歌唱力。
この曲、「荒野のメガロポリス」のカップリングの「Please」と連作なんですね。
PLEASE/光GENJI の歌詞|JOYSOUND.com
「荒野のメガロポリス」からそのまま繋がって「Please」へ。カオスな1曲目から、この曲は聖歌のよう。パイプオルガンがメジャーコードで優しいメロディを奏でる。
神様を信じてる ほんの少し思うよ
夢の途中でくれた 大切な愛の形
神様への感謝?それとも依存なのかわからない思いを「神様」に委ねる歌詞が続き、サビでは
愛を投げましょう
夜を止めましょう
「荒野のメガロポリス」のサビの部分の歌詞と対になっているんですね。戦う彼は遂に救われた?
その後の2番に入る前には「荒野のメガロポリス」の「青い空が消えていく 寒い寒い夢の中」が歌われるが、その声は白いもやがかかったような、深い深いリバーブの中に消えていく。荒野のメガロポリスで戦っていた彼の残像が消えていく。
ここが凄く好き!
この主題を循環させる手法、すごく好き!自分が知らないだけだと思うけど、あまりポピュラー音楽では聴いたことがない。クラシックでは割と定番の手法。
ムソルグスキーの「展覧会の絵」が特に有名。ラストの曲「キエフの大門」の中で、冒頭の有名な曲「プロムナード」がテーマが再現されて感動的!言葉では語ることが出来ない、曲に対する思いが音楽で現れてる。
ただ、詩の内容は「これでメデタシメデタシ」的なハッピーエンドには思えない。神様を信じつつも、どこか疑い深く醒めた目をもって神様を見つめてる。
真相は誰にもわからない。でも今度こそ「彼」が救われますように。