春が終われば、夏がくる。ほんとに早いですね!
今日は森高千里の歌に出てくる「A子」について。
正式に出てくるのは2曲だけなんだけど、たまにA子の存在が見えてくるような曲が幾つかあり、ご本人はそれを認める発言はたぶんしていない(と思う)けど、森高ファンの間では「あの曲はA子だ!」「いや、これは違う!」などの熱い議論が酌み交わされて来たのです。
A子を通してみる「人生」そして結末…
今日挙げる曲は「A子ソング」としては鉄板の曲ですが、その人によってA子かどうかは議論が分かれる場合もあるかと思います。てかA子って何それ誰意味わかんない、そこで「A子」誕生の歌からどうぞ
「あるOLの青春~A子の場合」
(アルバム「古今東西」収録 1990年10月17日リリース 作詞:森高千里 作編曲:斉藤英男)
森高千里『あるOLの青春 ~A子の場合~』【セルフカヴァー】 - YouTube
歌詞:http://j-lyric.net/artist/a002442/l007eca.html
森高千里のアルバムで初めて自分でお金を出して勝ったのは、大ヒットアルバム(オリコン1位!)「古今東西」
このアルバムはそのアルバム名の通り、とっちらかって凄い!それはまたいつか追々書くとして、このアルバムの3曲め「あるOLの青春~A子の場合」という曲。
ちなみに1曲めの「鬼たいじ」(鬼たいじについて真剣に歌った曲)2曲めの「ザ・バスターズ・ブルース」(ゴキブリとの死闘)の後に謎のインストを挟んでこの「あるOLの青春~A子の場合」鬼たいじ→ゴキブリ→OL 3曲めで古今東西すぎだろ!
そのタイトル通り、OLの日常というか、主に休日、別れた男について相変わらずのユーロ、ダンスサウンドに載せて、どこかノンビリと歌われるA子の日常
「夏が終われば 秋が来る ほんとに早いわ」
という歌い出し、まあ確かにそうだよな~と思いつつもA子の愚痴?が延々と綴られる内容。曲もあまり盛り上がらないし、「なんかこの曲イマイチだな!よくわからない」って当時中学生の時は正直思いました。
OLってこんな爛れた日常を送ってるんだ。って「ふーん」って感じでした。
しかし実際社会人になってみると、実在のOLはもの凄く頑張ってました!みんな社会性が高く、やる気マンマン!そして強い!やはり若い頃はいわゆる「OL」の皆さんとは距離があり、「みんな真剣だな~森高千里のあの歌とは違うな」と内心思ってました。
それからさらに年月が経ち、社会にもう少し深くコミットして、同僚の「OL」さん達とも仲良くなると、彼女たちの爛れた実態が手に取るようにわかるようになったのです。あれ?A子がまわりに沢山いた!
ひとりぼっちの休日には お昼まで寝ていて
それからパジャマでテレビ見て 夜はビデオを見るの
というかこれは自分そのまま…恥ずかしい>< 爛れたOLとは自分だった!中学生の頃とくらべて、自分がオトナになった事を実感する。リアルOLも大体こんな感じだった(性別は違えどやはり似たような人が周りに集まるのかもしれない)そう、A子は「どこにでもいる普通のOL」
「ザ・A子の特徴」
・旅行大好き
・彼氏はいない、別れた でも恋愛には積極的
・長期休暇のことばかり、遊ぶことばかり考えてる
・でも休日はファミコンしてためいき、お昼まで寝ていてパジャマでビデオ
・自分を磨こうとはしない、私には無理→意識が低い!
「意識が高い、低い」というのは最近の言葉だが、この時点のA子にピッタリの言葉!意識が低いOLのA子。しかし、この後それが覆される!
続・あるOLの青春~A子の場合~(森高コネクション)
(シングル「コンサートの夜」カップリング 1990年10月17日リリース 作詞:森高千里 作編曲:斉藤英男)
歌詞:http://j-lyric.net/artist/a002442/l0012bd.html
友達のよし子(よし子もいろいろ背景があるんだけど割愛)を呼び出して何を話すかと思ったら、まずは春休みに行った香港の話。またそれかよ!しかし本題はそれではなかった。
私はあれから悩んでた
会社をやめようと
いろいろ考えてみたけど
このままじゃいけないと
それから始まる強烈な会社ディス。そして彼と上手くいっているよし子に対する攻撃!
いきなり呼び出されてこんな事相手が言い出したらマジ腹立つ!
彼のことばかり考えて
他はどうでもいいの?
どの口がそんな事言うんだ!意識の低い爛れたOLのA子はもう消えた?
でも、人生は長い。こうなっちゃう時にはあるはず。「A君の悲劇(森高コネクション)」(名曲!)にも登場して、A子と香港にも行った「よし子」、記録的には「A子」もこの曲で最後となる。
ひとり暮らし
(シングル「ファイト!」のカップリング:1991年10月25日リリース 作詞:森高千里 作編曲:斉藤英男)
森高千里 『ひとり暮らし』 【セルフカヴァー】 - YouTube
歌詞:http://j-lyric.net/artist/a002442/l007eca.html
この曲は当時「ファイト!」が好きじゃなくて買わなかった。だからこの曲は知らなかった。実は発売当時自分は高校生で、ひとり暮らしをしていた。当時聴いたらどんな気持ちになったのだろう。
この曲は森高ファンの友達がカラオケで歌っていた時に初めて聴いた。画面に表示される歌詞。手に取るように気持ちがわかった。A子は、地方から出てきて都会でひとり暮らしをしている女性だったのだ。
退屈で思い描いてたのと違う毎日。会社から帰ってきたけど、思う事が溢れて、テレビも見たくない。わかるな~ってか毎日そんなんだよ
やっぱり田舎に帰ろうかな 会社をやめて
とりあえずアルバイトでもして のんびりしたいわ
森高千里の歌詞のネタは実際にOLの友達が言ってたことらしい。
「千里さァ~あたしもう嫌になっちゃった やっぱり田舎に帰ろうかな」なんてありふれた会話だ。でもこんなのが歌になっているのは森高様だけ。あとはつんく(同じアップフロント所属!)
世の中、自分を良く見せようとして必死。厳しい世の中、なるべく平均でまともな人間性を社会で保たなくては、すぐ捨てられてしまう。音楽業界でも一緒。
そんな中で飾りの無い、シンプルな言葉。そしてストレートな絶望。今は森高の中でも大好きな曲になりました。
地味な女
(アルバム「LUCKY 7」収録 1993年5月10日リリース 作詞:森高千里 作編曲:斉藤英男)
森高千里 『地味な女』 【セルフカヴァー】 - YouTube
歌詞:http://www.kasi-time.com/item-31695.html
地味な女を歌った曲ではなくて、「私は派手に見えるけど意外と地味な女なの!」という曲。
混んだ電車に揺られて
辿り着いたらくたくたよ
それだけ疲れる
体力不足かな
出たーOL日常の愚痴ソング!A子!
でもわかる。毎朝同じことを思う。
9時からお昼まであっという間にすぎるけど
ランチを食べてからは
毎日夕方まで辛いわ
わかる!みんなそう思ってる。異様に長い!まだ14時かよ…やっと15時、辛苦の責めに耐え抜いたのにまだ非情の16時半…
でも、この曲の主なテーマは愚痴じゃなくて「派手に見えるけど地味な女」
2番以降では享楽的で男に厳しく、恋愛には妥協したくないA子のこだわりが垣間見える。それでも仕事も恋愛もチグハグで噛み合わないと悩むA子。今後どうなるのかな?
九州育ち
シングル「風に吹かれて」カップリング 1993年10月11日リリース 作詞:森高千里 作編曲:斉藤英男)
森高千里 『九州育ち』 【セルフカヴァー】 - YouTube
歌詞:http://j-lyric.net/artist/a002442/l0012c0.html
そしてA子の物語はついに終焉を迎える。
「九州育ち」は、JALのCMタイアップで大ヒットした「風に吹かれて」のカップリング曲。
なんでも「九州育ち」もCMソングの採用候補だったらしい。最終的には「風に吹かれて」に決定したが、候補だったこの曲がA子ソング。
飛行機見送るのもいいね
と歌い出しにいきなりJALを意識した歌詞に真のプロ意識を感じます!
しかし「見送る」?飛行機の歌って言ったらフライトトゥザ・ムーン~とか彼の元へ飛び立つ~とか乗っているところがメインなのに。
明確な歌詞でこの曲の背景は「一緒に長崎を旅行して、その後に東京へ帰る友達を空港で見送る時の歌」A子、A子なの?A子ダ!!!
もうA子は、九州に帰ってきてもう3年も経っているらしい。お友達と昔の事や男の話(相変わらず)で盛り上がって楽しそうなA子。
もしも私が 東京に生まれてたら
私の夢 今もずっと追いかけてるな ちょっと寂しい
この「九州育ち」は明るくて爽やかなメロディに楽しそうな雰囲気。しかし地方出身者にはこの1節は突き刺さる。東京への未練をさわやかに歌い上げるA子。
東京を諦めて帰った人にはもちろん、今、地方から出てきて、東京で生きている人にも突き刺さる。生まれた場所が違ってたら、違う人生だったかも…。まあ九州育ちでも、東京生まれでも、誰でも思うことかもしれない。
ここまでのA子の人生がふつふつと思い出される。
よし子と香港に行って楽しくていつも中華料理の話で盛り上がるA子。
男と別れて、ひとりぼっちの休日は昼まで寝てその後テレビ見てビデオを見るA子。
突然やる気を出してよし子に説教するA子。
「マスコミで自分を試してみたい」とか言い出すはっきり言ってイタいA子。
それでも一人の部屋に帰ってきて、窓の外に雨が降っているのを見て「やっぱり田舎に帰ろうかな 会社をやめて」と呟くA子、そしてお母さんのきんぴらごぼう食べたいとふと思うA子。
ここまでのA子の歩みが映画のラストシーンのように浮かんでくる。
その後、親孝行のため、親の元にいるため、東京から地元に帰ってきたと判明する。
一人の女性の決断は3年も経てば、もう固いもののように見える。強がりのようにも聞こえるが、まあそこは個人の判断で。
人生はそれぞれいろいろな事がある。当り前のようで当り前でない事ばかり。A子を通して森高が表現したかったもの。1つの場面だけではなく、時間の流れを通して描く普通のOL、A子の人生。あるOL、A子の人生そのもの。
これで終わりかと思いきや、つい最近まで知らなかった事実が森高千里の口から衝撃の事実が明かされた!
私がオバさんになっても
(アルバム「ROCK ALIVE」収録:1992年3月25日リリース 作詞:森高千里 作編曲:斉藤英男)
歌詞:http://j-lyric.net/artist/a002442/l005f11.html
もともと「あるOLの青春~A子の場合」には別の歌詞が付いていて、その歌詞は別の曲に回されて、その曲が「私がオバさんになっても」だったというのだ!
これは本人が発言したので、ほんと!リアル!
ずっと気になっていた、「あるOLの青春」「私がオバさん~」の歌い出しが一緒なこと。
「夏が終われば秋が来る ほんとに早いわ」(あるOLの青春)
「秋が終われば冬が来る ほんとに早いわ」(私がオバさんになっても)
こういう背景だったんだ…森高様のことだから、なんとなくテキトーで一緒になっちゃったと思ってた。
これはA子?旅行好きで恋愛体質なところはA子っぽいけど、なんとなく違う。A子の魂を受け継いだ別の人。
この曲はアルバム先行だったがシングル・カットされて、枚数はそこそこだったが、そのインパクトから森高千里の代表曲の一つ、というか代表曲になった。数々あるヒット曲の中でも「森高といえば『私がオバさんになっても』」という声が多い。
そして最近25周年企画でセルフカバー(ここに貼っている動画もオバさん以外はセルフカバー)をしたり、歌番組に出たり、活動が活性化していた。
そしてライブの終了後に「皆さんありがとう」的なノリで公式Facebookにアップされた写真がネットに旋風を巻き起こす「45歳の現在の姿をご覧ください」というスレタイのまとめchはシェアされまくり「若い!」「全然オバさんじゃない!」と賞賛の声を浴びた。
BLUENOTE 1日目終了しました。オリジナルカクテル飲んで頂けましたか?美味しいお酒と私の歌で楽しい時間を過ごして頂けたでしょうか?ライブで初めて歌う曲があって少し緊張しましたが、楽しい時間を過ごせました。お花やお手紙頂きありがとうございました。 森高千里
Posted by 森高千里 on 2015年1月23日
「私がオバさんになっても」、とかつて歌ってたけど、全然オバさんにはなってない。この曲は時が過ぎて森高千里に大きな付加価値をプラスした。
この曲を森高千里がテレビ歌っていたり、友達がカラオケで歌っていたら、「A子」の事を少し思い出してほしい。そんな人が増えたら…と思いこのブログを書きました。
終わりです。
おまけ!「あるOL〜」「私オバさん〜」を合成した動画!
凄い!
森高千里「あるOLがオバさんになっても」 - YouTube