さわやかトラウマ日記

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「思いつめたポップバンド」 Eins:Vier「恒常の欠片 e.p」

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    Eins:Vierの先日リリースされた、リメイクアルバム「Searching Red Light」と共に、初期のレアシングルを集めた6曲入りの「恒常の欠片」が配信限定としてリリースされました。
  1. 僕は、いつも使っているApple Muisicにて聴きました。
     
    まず、TRASH OF TEARSタムタムのリズムボックスの音がフェードインで始まり、続いてバスドラムの音、そして広がるギターのサウンド。一瞬、まったく別のバンドを聴いているような感じがしました。しかしこれはEins:Vierである。当然に。しかし、これはまったくもって80年代のUKギター・バンドそのものの音です。
    彼らのルーツとしてあるものが、1曲めにとても濃く表れていた。曲展開もいわゆる「J-POP」のようなものから、かけ離れたものです。インディーズのレアなシングルにしては、あまりにも先を行き過ぎていない、当時の音です。そして「ヴィジュアル系の元祖」としての音ではない。完全に違うジャンルの曲とサウンドです。曇り空ばかりの陰鬱極まり無いロンドンの風景、しかし遠くに緑ばかりの公園が見えるような。美しい曲でもある。
    具体的に、そのような例としてのバンド名を挙げられなくて残念だけれども、80年代の音楽を学習しようとして、たくさん聴いていたようなサウンドを、彼らもやっていた、ということに改めて気づかされてました。しかし、そのような音楽を好む界隈の人たちに彼らの音楽は、届くことはなかったのかもしれない…とも。思いました。
     
    2曲め、IN YOUR DREAMはアルバム「Risk」に入っていた曲。そして「Searching Red Light」に入っています。しかし、聴いた感触は当然まったくちがうけれども、一番古いはずなのに、僕はこのバージョンが一番好きなのかもしれない、と感じました。Hirofumiの声が優しく聴こえるような気がします。歌い出しなど特に。そしてバンドの要のひとつ、Yoshitsuguのギターも前に出て聴こえるような気がします。音が絞られていて、鮮明に音と色彩がよく滲みでていますような気がします。それは、この「恒常の欠片」全編に言えることです。サビは右に左に、ミュートの掛かったエフェクトのフレーズが華麗に暴れまわります。すてきだなーと思いました。
     
    SHY BOYはこれも「Risk」に入っていた曲です。これもこのバージョンのほうが好きです。理由はよくわからないけれども、「Risk」のSHY BOYはそれほど好きと言う曲ではありませんでした。Lunaのベースもよくよく聞こえます。力強く、シャイボーイの内に埋めた強さをベースで表現しているような気がしました。前のバージョンよりも、身軽になっている様な印象を受けました。
     
    MY ONLY GIRL FRIENDは、初めて聴く曲です。こんなすてきな曲を隠していたなんて。タイトルの通りに真っ直ぐだけど、まっすぐ過ぎて線が弾けない、ようなポップソングです。「思いつめたポップバンドになりたい」というHirofumiが「SHOXX」のインタビューでメジャーデビュー前後の際に発言していたことを、思い出しました。どんな暗いかなしい映画にも、この曲のような煌めきに空間があるということ、を考えました。花の中で、白い蝶を追いかけ回すような、事を思い出すような曲だと感じました。
     
    NURSERY TALEもRiskに入っていた、そして「Searching Red Light」に入っています。そして、このバージョンが一番好きです。なぜならばYoshitsuguの神憑りてきなギタープレイが良く聞こえるからです。銀粉や金粉や粉砕ダイアモンドを撒き散らすようなAメロのバックの密やかなフレーズをはじめ、ディレイを調整し、拍が遅れて音がでるように調整をした場所のすばらしさ。その場面の最後には、それを利用してハモるのです。歌にあわせて高揚をあらわすように。そして、サビの部分では、他のバージョンにはない、ボーカルに深い深いリバーブがかかっています。この童話のような、神話のようなこの曲に旨く嵌っていると感じました。より幻想的になり、曲の深さも音響だけでなく、高めていると感じました。
     
    そして最後CRASH OF THE WALLは、そもそも80年代のロックの始まりは、パンクだった。The Smithもパンクの流れだった、ということを知らせてくれる曲です。パンク。壁を壊せ。そして彼ららしい、知的な暴力性の現れた曲だと思います。そうです。Eins:Vierは軟弱なように聴こえて、力強い音楽である。それは精神性でも表れている、と感じました。
     
     
    最後にタイトルの「恒常」とは
    こうじょう
    恒常
    1. 一定で変わりがないこと。
       
     このような、意味があるようです。一定で変わりがない。まさにその通りです。
    音楽を続けるということで、一定で変わりがない、といえる欠片を最後に示せたということは素晴らしいと思います。おそらくこれが最後の音源になるかもしれない。
    そんなことはないのかもしれないけど、いずれにしても「思いつめたポップバンド」に相応しい、最後だと思います。
    終わり。
     
     
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恒常の欠片 - EP

恒常の欠片 - EP

  • Eins:Vier
  • ロック
  • ¥1500

 

 

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