僕が中学生の時に、多大な影響を受けたユーミン、松任谷由実が荒井由実だった頃の曲「朝陽の中で微笑んで」を紹介します。アルバム「14番目の月」に収録されている曲ですが、もともとハイ・ファイ・セットに提供されたものでした。有名な「卒業写真」もそうでした。
ユーミンのボーカルはやはり独特ということもあり、聴く人を選ぶものであると思います。僕はそのような個性的な所が好きだったのですが。
そしてハイ・ファイ・セットの山本潤子が歌うこの曲は、曲が持っているポテンシャルと神秘性を、完璧に歌い上げる、まさに神々しいばかりの出来上がりだと思います。
この曲は本当に凄いと思います。ユーミンの曲は名曲といえるものがたくさんありますが、この曲は自分の中でもトップの位置にいます。
この曲の歌詞には、いわゆる「人称」がまったく存在しない、そしてきめ細やかな風景とそこからくる心象の描写に徹していると感じました。
いわゆる「キャッチーなヒット曲」になるものではないと思います。しかし人間としての、大事なもの、大事な瞬間を切り取ったようなものに僕は聴こえました。
例えば、高らかな海が見えるところから、夜から朝に変わる瞬間に朝陽に照らされた時、こんな事を考えるのかな。小さな事がどんどん広がっていく。不安と喜び、そして自分の小ささと自然の風景の大きさと、美しさと、無くしてしまうかもしれない、何か。だから朝陽の中で抱きしめてほしい。
「身をやつすの」窶すという言葉を、使いこなせるのはこの人だけだと思います。たった二十歳かそこらの女性がこんな曲を作り上げたなんて、凄いと思います。自然の風景と心象風景の描写の融合、これは芸術としての根本的なものでもあると思います。
ほんとうに凄い曲です。宇宙という歌詞が出てきてもおかしくない。今いるここは宇宙の片隅でしかないんだ、ということも感じさせる曲です。今日気づいたのですが、この曲は僕と同い年でした。凄いですね。よんじゅううんねん前から、日本のポップスは進化しているどころか、、と思ってしまいました。凄いです。
終わり