僕は仕事を通して、インターネットのコミュニケーションにおいてユーザーに近い場所にいることができました。今はそこを離れています。
そこでは悲喜こもごも、第3者からは想像もつかないようなことが、沢山沢山起こりました。しかしそれはユーザー同士、一般人同士ものが殆どでした。
時は流れ、そのコミュニケーションの主役の一人として舞い降りてきたのが、いわゆる「有名人」たちです。SNSの展開も当時からありましたが、やはり「芸能人ブログ」が流行して、そこからブレイクへの道が開かれた、みたいなこともありました。
そして、「ブログのランキング」がとてもとても重要になった、時もありました。最近でもトレンドとして上位の人はメディアに取り上げられたりもします。
そして、トラブルもやはり発生しました。どこでも火は上がる。学びました。学んでしまいました。
「人格ラヂオ」は、インターネットのコミュニュケーションにおける「失敗例」を示してくれました。
「炎上」です。人格ラヂオは炎上して、その炎に焼き殺されてしまった。
ここまでに残酷な殺人劇は、その音楽に込められている「悲観」の強さを思うと、なんだか哀しいです。
この炎上の発生元であるのは、人格ラヂオのボーカルの悠希さんでした。彼のブログは、「バンギャル症候群」などのヒットで、勢いに乗っていたこと、もともとトークが得意で、ブログの記事も面白かったことから、Amebaの人気ランキングで総合TOPにランクインするなど、かなりの人気ブログでした。
そして、人格ラヂオ自体の人気もうなぎのぼり。でした。炎上の発生者達は「人格ラヂオ」を知らないようでした。これから知られるところだった。僕もその人達が好きな人のことをよく知らない。
しかし、人格ラヂオは高い評価を結成当初からこのシーン、ヴィジュアル系のシーンで評価をされていたことは確かです。僕も好きでした!
「他人の悪口」を言ってはいけないというのはもちろんですが、相手が悪かったと思います。ネット上において「知らないのに近づいては危険なところ」というのは、決まっています。
「どこに近づいてはいけないのか」というのははっきりとは言いません。
彼らは、信望してるものをこの世の中心と信じていて、穢すものは許さない。許されない。そういう意味では、V系シーンと似ているのかもしれませんが、こちらは女性中心、あちらは男性が多いようです。質が違うと思います。もちろん良し悪しはわかりません。どっちも同じだと思います。しかし、違う世界です。違う世界が交わってしまうとロクなことにならないというのは誰も彼もわかると思います。
価値観の違いがあるのです。圧倒的な。彼らが「人格ラヂオ」の重要性がわからず、こちらもあちらについて、よくわからなかった。悪いことじゃないとは思うのですが、結果は「人格ラヂオ 活動休止」となってしまいました。作品もタイアップも全部無し。何もなくなってしまった。
崩壊して、支配されてしまった。殺されてしまったのです。
その後に、活動再開の報はありません。
しかし、お二人とも活動をそれぞれに再開しています。
お二人が、「浮き上がる」きっかけになったと思われる、そしてタイトルがいまとなっては哀しい彼らの生きた「証拠」を、今もういちど聴いてみました。
人格ラヂオの音楽性はこのアルバムを聴く限り、バンド名の由来となった「レディオヘッド」の影響が強いです。「OK computer」あたりです。ほんとにそっくりなところや、エフェクトの掛け方、ギターのフレーズなど、当時「パクリで炎上しないかな」と思っていたのですが、別のところで燃えてしまいました。
そして、悲痛な歌詞、そして唯一無二で唯一無比の悲痛なハイトーンボーカル。
V系では珍しい、UKからの影響を受けたバンドです。系譜としては、Plastic Treeが近いのかもしれないです。あまりいないのです。そういうバンドは。V系にとても合うのに、メタルというかハードな音像のバンドが多いのは、昔からです
彼らは貴重でした。ここまで「哀しい」音楽をやっているなんて、V系の理解者以外は、わからなかったでしょう。凄く哀しいです。全曲絶望的、といってもいいかもしれない。。
「再生の朝」
どんな人間にも朝はやって来る。再生する。それはわかっていても動き出せない。朝が本当はこわい。でも無くしたものを無くしたくない。立ち上がれるのかわからない、朝の光だけが降り注ぐ。
無くしたものを無くしたことを。今となっては、すごくしみる、そして哀しいフレーズですね
「溺愛」
人格といえば溺愛!そして人格と言えば「びじゅなび」だと思ったのですが、間違いでしょうか。たくさん試聴がありました。Real soundでしたが。。。
この曲は「90年代と00年の端境期」といった感じで好きです。ライブでバンギャ様がノリノリ海苔で楽しそうな曲でした!
「火曜日の焼却炉」
これは極めて00年代っぽい曲です!オサレ?懐かしいことば。。シャッフルリズムの大安売りな感じですが、僕はオサレ憧れなので、好きです!人格レディオヘッド一辺倒だけではなくて、その時のシーンの流行も取り入れる姿勢は素晴らしいと思います!
「体温」こちらは極めて人格レディオヘッドです!でもボーカルが全然違う声質だから問題ないです!この曲はお得意の「広がり系」ですがやはりメジャーコードって暖かいなって気持ちになれる曲です。こんな暖かい曲があっていいのでしょうか?やはり無くなってただただ悔しいバンドでした。
「午後の落下」
確かドラマのタイアップも付いていたと思います。どんなドラマだったかは覚えていないのですが、ドラマに相応しいイントロで、そしてメロディが美しい。鬱くしいです。
サビが力いれて歌っているのに、歌詞とともに、何故かだんだん力が抜けていく感覚を感じます。そして「沈んで 沈んで 沈んで 静かに」ギターソロに入ります。メジャーコードに転調して、凄く良いです!ああ、私達は人格ラヂオを失ってしまった。それでいいのだろうか。。。しずんで。。。
「暗い春」
春は明るくて、サクラが咲いて、みたいなことを否定するようなタイトルです。その通り。春は暗い!「暗い春 僕を包み込む 病的な不安定」と歌い出しからやはり絶望的です。絶望的ですが、寒い冬を思い出せます。寒い寒い冬。寒かった今年の冬は。春なんてこないかも!くらーいはるーと僕は冬から歌っていました!そしてやってきた今年の春は寒い暗い!僕も暗い!たすけて!でも今日は暖かった。でも、「透き通った空は目を潰してしまう」感覚に襲われてしまいました。。くらいはる・・。個人的に「証拠」で一番好きな曲かもしれません。暗い春・・。
「お人形」
お人形虐待曲です!バンギャさま楽しそう・・過去は美しく見えますね。また過去に戻りたいのです。人格ラヂオも戻ってくれたらいいのに。この曲はサビの王道のポップスのコード進行が新鮮に聴こえる面白い曲だと思います。
「回路」
この曲を何回聴いたことか。これこそが人格ラヂオの真骨頂といえます。
シングルで最初にリリースされた曲です。悠希さんの声は「ライブハウス映え」する声質です。高い声で、バックに潰されない声質です。この曲のサビなど、悠希サンによる悠希さんのための歌と感じます!他の人には歌えない!
なので、ライブで人気がでて、噂で広まって、MCも面白くて、人気者になった。そういう回路があった。でもなくなってしまった。この歌詞もやはり、やはりこの状況を合わせ重ねてしまいます。
「証拠」には入っていないのですが、久々に聴いてイントロから、ジーンとしてしまった「額縁」です。暗い影に覆われはじめる心が見えるようです。曲の展開も鮮やかで、そして苦しいです。美しいのに、苦しい。ヴィジュアル系の基本ですね。そういう音楽なんですよ。「聴いてみて!」って言いたいですよね。知らなくても。こういう音楽が受け入れられる日本であってほしい!明るい無難な音楽はもうたくさんだー!
「姥捨て山」これもアルバム「証拠」には入っていないです!「姥捨て山」が好きなんです。「人格ラヂオで好きな曲は?」と聴かれたら「うばすてやま!」と言うでしょう。何かの隠喩なのかなと思ったら、本当に姥捨てを歌っています!姥捨てソングなんて、史上初かはわかりません。なんだか知らないですがやはり姥捨てなので、絶望的です。サビのあーあーあーがおばあちゃんの声に聴こえてきます!こわいーここはおばあちゃんの声なのかどうか、だれか今度聴いてみてください><
「姥捨て山」のwikipediaを見ましたが、人格ラヂオのこの作品についてはありませんでした!よかった?そうでしょうか・・。
ということで、終わります!
2000年代から2012年まで駆け抜けた人格ラヂオがヴィジュアル系シーンに残してくれた「証拠」を僕らは忘れません!ヴィジュアル系に解放を\(^o^)/