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【映画の感想】「タレンタイム」「台北ストーリー」上田映劇で鑑賞した映画です。

この地、長野県上田市には現在2つの映画館があります。

ひとつは「TOHOシネマズ上田」全国にあるシネマコンプレックスです。沢山のシアターがあり、沢山の映画が上映されています。「君の名は。」を鑑賞したのもここです。

そのように、全国展開で公開されている映画が、そういうものだけが上映されている映画館です。僕が住んでいたころ、20年くらい前にはなかったものです。

 

そしてもうひとつあります。「上田映劇」です。

上田映劇-トップページ

その歴史は大正時代にまで遡ります。建物も古いもので、天井は戦災で焼け落ちた帝国劇場と同じもの、ということです。

かなり古いのですが、やはり魅力があります。きれい、とはいえませんが、別に不潔ではありません。

何よりも、その雰囲気はまさに「映画的」とも言えるでしょう。味気ないシネマコンプレックスよりも、よほど魅力的だというのは、わかりやすすぎて映画的ではないような気もしますが。

映画館の主役は、もちろん映画です。建物ではありません。

注目すべきはそのラインナップ。今回見た「タレンタイム」「台北トーリー」どちらも、全国展開で上映されている映画ではありません。いわゆる「単館上映」の範疇にはいるものです。

当然「シネコン」では上映されないもの。そんなものが、この辺境の地において、古い古い、ベージュ色のカーテンに囲まれたスクリーンで観ることができるなんて!

 

やはり古いということで「雨漏り」があるようで、募金を募っているようです。

経営もおそらく苦しいと思われます。 

 

・タレンタイム

はじめてこちらで鑑賞したのが「タレンタイム〜優しい歌」です。

www.moviola.jp

この映画館のラインナップを見て、初めて知った映画でした。しかし、予告などでこの映画の概要を見て、是非観てみたいと思い、足を運びました。

シネマコンプレックスでも観たい映画はありましたが、ここは上映期間が短いということと、シネマコンプレックスのラインナップは「イケメンとよく見る若手女優のキャストをシャッフルしたような映画」ばかりのようですので、こちらを選択しました。

 

観たいと思ったポイントを列挙します。

・マレーシアで早くして逝去した女性監督の傑作だということ

・音楽が舞台、「タレンタイム」という音楽コンクールが舞台の映画ということ

・マレーシアという自分にとっては未知に近い国の実情がみられそうだ、ということ

 

です。実際にその通りの映画でした。「タレンタイム」というコンクールの実情は謎のままでしたが、学生たちと先生たちの部門がある学生が主役の舞台のようで、その前にオーディションが開催されて、その様子から始まります。

その中で、主役となる一人の女の子。父親が白人で比較的恵まれた生活をしていました。「比較的恵まれた」というのは後ほどに出てくる、おそらく平均的、でも国際的、日本人からしたら貧しいとも見える生活の差からでした。

また、マレーシアが「多民族国家」である。ということもわからせてくれました。

主人公の一人は、前述のように白人とマレーシア人のハーフ。そしてその女の子と恋に落ちる男の子はマレーシア人。その他、中国系、イスラム系、アジア系、などそれぞれ独自のアイデンティティ保有していながらも、自然に共存している、でも心の中の軋轢も感じさせてくれました。

日本は、「多民族国家」ではありません。唯一「アイヌ民族」が存在していますが、他国と比べれば、唯一民族といっても良いのかもしれません。実際に自分がアジアの他国にてそれを感じることもありました。

それは「言語」に関してもそうでした。この映画では当然字幕が表示されますが、字幕が違った形で表示されることがありました。

英語では通常の字幕が表示されて、それ以外、マレー語などは違った形で表示されている。ということは出ている人は全員バイリンガル、またはトライリンガルだということ。日本語だけしか話せない自分のような日本人とは、当然違うんだ、とわからせてもくれました。

 

音楽に関しても感銘を受けました。ここでは、生徒役の子たちが、ギター、ピアノを弾いて歌っています。歌声は作曲したプロの方のようですが、その歌声の素晴らしいこと。歌詞は英語だったと記憶しています。発音とかそういう問題ではありません。

www.youtube.com

劇中で歌われる曲で一番好きだと感じたのがこの曲です。凄くさわやかでまえむきな曲です。歌詞も「君が好きだ」というような、わりと普通の歌詞ですが、映画の中で聴いた時にはなんて素晴らしいんだろう!と感激した次第です。

 

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このラスト付近で主人公の女の子がオーディションで歌う曲も良かったです。ここは凄く泣ける場面でもあります。

この主人公の女の子が恋をした男の子、主人公の子とは違う、まずしい家の子です。彼は、耳が聴こえません。そして話すこともできない。でも、歌うを唄う彼女を観て、恋をした。

彼は生活するには大きなハンデを負っていました。貧しく、障がいも背負っている。でも堂々と生きて、そして恋もしていました。彼女の家も彼に関して理解を示していた。でも、辛いことも当然のようにあります。でもそれも彼自身で乗り越えていくさまは、普通に感動しました。

 

音楽の素晴らしさ、そしてどんな状況でも幸せに生きようとする、人間としての当然の姿を素直に表現している映画だと感じました。邦題についた「優しい歌」というサブタイトルの意味も理解できました。

平日の午後という時間帯もあったのか、観客は極わずかでした。しかしそれは「シネマコンプレックス」でも同じだと思います。夜はきっともっと入っている。土日はもっと入っている、と信じたいです。しかし果たして「この地」でこの映画を観たいと思う人は、やはりマイノリティです。

「上田映劇」もマイノリティに負けず、生き延びてほしいです。

 

台北トーリー

taipei-story.com

続いて鑑賞したのはこの映画です。本日観ました。

観客は開始十分前に僕ひとり。「ああどうしようひとりなのか」と思いましたが、直前にもうお一方がいらっしゃいました。最後まで二人だったと思います。東京にて、「鑑賞人数が少ない映画」を観たことはあまりなかったかもしれません。今はなき「銀座シネパトス」でデヴィッド・リンチの「マルホランド・ドライブ」を観た時が一番少なかった気がします。それでも、結構入っていました。さすがに2人ということはなかったです。銀座ですから。

 

この映画、「台北トーリー」ということで、やはり台湾好き、何度もいや3回くらい?行った台湾の映画ということで、気になりました。

「タレンタイム」もそうですが、この映画も事前にTwitterで映画名にて検索をして評判を探ったところ、どちらもかなり上場の評判だったので期待をして、「タレンタイム」が実際によかったので期待していました。

 

しかし事前にあらすじなどは読まず「80年台の台北が舞台」「主人公は社会人の男女」ということだけを把握して観ました。事前の予習は不要だとそこだけで判断できたからです。

その通りに物語は淡々と進んでいきました。ありきたりにみえるけれども、確実に「過去」の台北であること。その「過去の台北」は観たことも考えたこともなかった、ことにも気づきました。

そこにあるものは「過去の日本」とさほど変わらないもの。もう日本も失った古いもの。ダイヤル式の電話、アナログのCRTのテレビ、ビデオテープ、レコードプレイヤー、おそらくカセット式だと思われる「カラオケ」(その日本語表記もありました)。

日本と台湾は密接にある、と感じさせてくれました。映画内でも日本賛美「好日」のようすを若い女の子が語ります。「東京に行けばなんでもある」「原宿に行きたい」「かわいいものがたくさんある」「日本食は全部おいしい」などと、現在日本にはよくあるような言葉が、1985年に制作されたこの映画で出て来るなんて。だからといってそっくりそのまま受け取れない、という状況である。日本で公開されたのが昨年、そして私が映画館で観たのが2017年という事実によって、それが示されたといえるでしょう。

 

そしてこの映画の大きなこと、だと思っていたことは、実はまったく重要ではなかった、という事実にも気付かされました。

台北トーリー」という邦題から「台北を舞台にした甘い甘いラブ・ストーリー」かと想像していました。

しかし、冒頭に表示された原題は「青梅竹馬」でした。その時は意味はわかりません。なので、今、調べました。意味は「幼馴染」でした。

この映画を見て、このタイトルの本当の意味を知って、本当のこの映画の言いたい事がわかりました。この映画は「ラブストーリー」ではなくて、「おさななじみ」の物語で間違いありません

 

台北トーリー」であることには変わりありません。会話の中ではアメリカやら東京やらがたくさん出てきます。しかしロケなどはありません。台北の中だけで繰り広げられた物語だった。そうなってしまった。それも重要な意味でした。

 

この映画の主人公の男性は、まったくもって普通の人。普通の人だから、良い人。でも不器用で、自分をコントロールすることができない。それでも良い人だから周りの人が頼って、そして…結末にたどり着いてしまう。

もう一人の主人公も、「失業」という悩みを抱えて、相談できず、彼に相談をするのですが、一度は冷たく返されて、他の提案も受け入れることができない。

 

「幼馴染」たちの物語は、結局「幼馴染」で終わるのか。

そういう内容です。邦題と原題が違ってしまうことは、よくないことなのかもしれませんが、あまりにも原題が全てを語り尽くしていたから、これで良かったのかも。と感じた映画でした。

 

以上です。

長文になってしまったのは理由があります。

僕はひとりで2つの映画を見ました。まあ、いつも一人なのですが「映画を見てその場で感想を共有する」という楽しみを知らない、そして現実的にこの街でほとんどひとりぼっちで過ごしている、という現実から、心の中にあるものをここで解放しよう、という魂胆からです。

なんと「上田映劇」では大作「クー嶺街少年殺人事件」が公開されるようです。

上映時間なんと236分!どうなってしまうのでしょうか。僕は観ます。過去最長の映画ですが…。足が心配ですが上映後に歩けるのか。

 

終わりです…