さわやかトラウマ日記

さわやかな音楽ブログです from 2004


さわやかでまえむきな人間になりたい男が
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【安室奈美恵】マスコミが伝えない、彼女の本当の偉業について。

安室奈美恵が引退する。唐突だった。もうひとつ驚いたことがあった。報道に名前が載ると名前の横に年齢が出る。彼女は現在40歳。僕と同年代だったのだ。知らなかったような。随分長く活動はしてるとは思っていたけれども、自分と同年代という認識がなかった。

自分と同じだから、同じ時代を過ごしてきた。初めてみたのは「カトちゃんケンちゃんゴキゲンテレビ」の歌の出演だったと思う。スーパーモンキーズとしての出演だった。「あの子、真ん中の子、サルみたいだね」「だからモンキーズなのかな」とか人と言い合ったのを覚えている。

その後は、「TRY ME 私を信じて」の大ヒット。早速小室哲哉が「あのこをプロデュースしたい」と言っていたのを確かに覚えている。その後の事は、ここに書くまでもない。

満を持してのリリースとなった「SWEET 19 BLUES」、実は僕は買っている。椅子に座って気怠げなポーズを取ったジャケットだった。「お前そんなの買うのかよ」と言われたような気がする。マイナーなものしか好きではない、と思われていたのだろう。

まあ実際にそうだった。自分でも何故買ったのかは覚えていない。そして、聴いてみて、感動したとか、ファンになったとかそういうものは、特にはなかった。

 

時代は流れた。「小室プロデュース」ではなくなったとの報を聞いた。その頃には小室哲哉の時代が終わりかけていたころだったから「いいことだ」と僕は思った。

 

彼女が小室哲哉にプロデュースされるにあたっての不安を話していたことがある。

小室さんの曲はキーが高くて難しいから…」というものだ。確かにそうだ。華原朋美、globe、その他大勢も大体は「ハイトーンでひたすらサビのメロディを歌い上げる」というスタイルだった。そして、その時のJ-POPシーンもそうだった。

彼女は歌がうまいのだから、そのような曲も歌いこなせた。不安でもできた。でも、僕はこの子には小室哲哉の曲は合わないんじゃないかな、と思っていた。

 

それからまた時代は流れ、僕が再度、一時期だけど安室奈美恵を聴くようになった。

あれから時間が経ち、自分は聴く音楽の幅を広げようと、いろんな音楽を聴くようになって、今まで聴かなかった音楽も聴いてみた。それが「現代、最尖端のR&B、ヒップホップ」だった。その中で一番好きになって今でも聴いているのが、なぜか「セルジオ・メンデス」の「Timeless」というアルバムだった。

 これは、ボサノバ、サンバの神様ブラジルのセルジオ・メンデスの過去曲を、最先端のR&BHIPHOPのアーティスト達がカヴァー、リアレンジ、リメイク、そしてコーディネイトをしているアルバム。これが凄く良い。セルジオ・メンデスの曲の良さを消さずにそこに自分達だけが足せるものを目一杯出している。保守的なセルジオ・メンデスのファンのことなど、気にしなかったのだろう。

 

そんな遍歴を経て、安室奈美恵にたどり着いた、その理由はもうよく覚えていない。けれども、僕のもう使っていないiPodには当時に残しておいた音源が残っていた。

60s 70s 80s(DVD付)

60s 70s 80s(DVD付)

 

おそらく、このシングルを買ったのだと思う。2008年。もう随分前だ…。ちなみにこのブログは、2004年から始まっている。安室奈美恵についてその時に書いた記事もあるけどなぜか途中で途切れているのでここではリンクを貼らないことにする。

その記事はこのアルバムについて、書こうとしていたもの。

PAST<FUTURE

PAST<FUTURE

 

 さっそく久々に聴いてみた。なんどもなんども聴いていた当時が甦ってくる。当時、僕は新しい音楽にいろいろ目覚めはじめた時期、「Dubstep」なんかを聴いたりもしていた。自分にとっては体験のしたことのない音世界だった。それに安室奈美恵が挑戦をしている、という事実を知って衝撃を受けたのを覚えている。

 

そうなのです。安室奈美恵小室哲哉時代と、その後のセルフ・プロデュース時代では、まるっきり音楽が違うのです。ほんとうに。全く違うのです。

いちばんわかりやすく説明するならは、小室時代は「邦楽」セルフ・プロデュース時代は「洋楽」です。ちょっとわかりやすすぎるかもしれない。要するに、

・カラオケで歌われるための曲ではない。

・Aメロ、Bメロ、サビ、Dメロ、サビ、のような定番の流れの曲ではない。

・トラックは、あくまでクール、音数は絞られている。

・しかし、コーラスにバッキング、曲への彩りはとても多い。彼女の声によるものがほとんど。

 

「PAST < FUTURE」で当時に自分が聴いて一番感動した、カッコイイ曲は「FIRST TIMER」という曲。これは完全にDubstep。「Dubstep風」なのかもしれないけども、これはダブステップだといえる曲だと感じている。中盤のラップとのバックトラックとの超絶技巧的な絡み。

日本でここまで、しかもトップシンガーがやっていた、ということはもっと知られてもいいと思うのです。知られているかもしれない。ファンの方たちは当然知っていると思う。でも、テレビが伝えるのは「キャンユーセレブレイト」「バディーフィールイグジット」「トライミーわたしを信じーて」そんなのばっかりです。(TRY ME好きだけど…)

まあ、数字を参考にする世界だから仕方ない、とはわかってはいます。300万枚もアルバムが売れたのだから、仕方がないです。が!もう最後なのだから、言っておきたい。

 

Queen of Hip-Pop

Queen of Hip-Pop

 

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このアルバムのタイトル「Queen of Hip-Pop」タイトルがまず凄い。しかし「ヒップホップの女王はわたし」と言ってるわけではない、「ヒップホップの女王」を描いているのかもしれない、なんてつまらないことを当時考えていました。

しかし、先程に貼った動画「WANT ME,WANT ME」この動画を見て、そんなことはどうでもよくなった。この曲、いきなりバンジョーの音から、民族音楽的なバックトラック、リズムが強い。歌の譜割りは音の跳躍は少なく、音符がひたすらに細かく、そして分厚いコーラスもそれに付いていく。すごいです!これは彼女が全てを作っているわけではありません。作詞作曲編曲も、他の人がやっている。しかしそれを統括しているのは、自分、彼女自身なんだということをわからせてくれます。

日本においては、「自作自演」がもっとも「」とされているのかもしれません。自作自演、自分で曲を作って、自分のバンドで演奏をする。それだけが本当に良いというわけではない、ということがわかりますね。

 

あと、当時一番好きだった曲、アルバム「PLAY」またはシングルとしてリリースされているこの曲です。

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 シングルでリリースされたということで、ポップな曲。でも、小室時代のシングルとは比べてはいけないくらいに、全く違うジャンル。信じられないくらいにクールなトラックに、彼女の歌のキーに合った範囲内で、そして今回は自身以外のコーラスも採用をしている。そのような柔軟性も垣間見える。

でもこの曲の甘美さはなんだろう、「女子高生を意識」した曲らしいのだが、こんな曲が似合う女子高生はいるのか、いたのだろうか。もう「アムラー」なんて言葉はこの時に無かったけれど。「アムラー」なんて、マスコミ以外果たして使っていたのかしら、なんて。

BEST FICTION

BEST FICTION

 

 

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 懐かしいこのジャケット、この曲、このPV。DVD付きのを買いました。懐かしいです。どこかになくしてしまったけれども、こうしてまたインターネットでPVが観られて嬉しいです。この曲だけではないのですが、一連のセルフ・プロデュース作品の特徴は「音の数が少ない」ということです。日本の音楽は、音が総じて多いです。音符は少ないのに、音は多い。それは…僕だけかもしれませんが、「生ギター生ベース生ドラムの偏重」のせいだと思っています。僕はそちらの方が好きなんですけど。矛盾してますが、この音楽のように、エレクトリックに統制されたもの、残念ながらそれが今の世界の音楽の最先端なのです。哀しいですが、日本のロックはもう時代が遅れてます。僕は日本のロックが好きですけど。さわやかまえむきロックは嫌いですが。

 

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最後に、小室先生大先生の悪口大会になってしまったことを反省して、小室時代に安室奈美恵が「好きな曲」として挙げていた「Don't wanna cry」のCM動画をあげます。

なぜ、この動画かというと、公式の映像がこれだけだったということと、今日、報道の中でこのCMと思しき動画が流れていてそれを観て「ハッ」と思ったから。

最後の方に、一瞬に酒場のような所で、黒人女性と歌いながら踊る彼女のその踊り方を見て、これは…「後ノリ」だ、それは、洋楽そのものなのです。つまり、小室哲哉がやろうとしていて、タマーにしかできなかったことを、ずっとやりたかった、それが今に続いているのだ、と言いたい、ということです。

 

おわりです。