さわやかトラウマ日記

さわやかな音楽ブログです from 2004


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【女優の歌】ELAIZA「失楽園」エライザさまの美しい闇

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日本のポピュラー音楽は大きく分けて2つのものがある。それは「さわやかまえむき」か「それ意外」か。これは我ながら暴論だと思うけれども、そうなのだと自分はいつも思っている。

ポピュラー音楽は商売が命なので、商売にしやすい大衆受けしそうなもの、そしてもう一つ、イメージが良いものが求められてしまう。それは仕方ない。そしてそれが課せられてるのは音楽家意外の音楽活動もそうなってしまう。いろんなシガラミの中で生きている人達が、それらを損ねるようなものよりも「さわやかまえむき」に処理されてしまうのだろう。

女優である池田エライザがELAIZA名義として歌手デビューをすると聞いて、もしかしたら彼女も「さわやかまえむき」「さわやかまえむき菌」に侵されてしまうのではないのか、と思ってしまった。彼女はNHKの「The Covers」において鬱さを隠せないその声質で圧倒的な存在感と美しさと鬱くしさを放っていた。「エライザさまぁ」と一瞬の熱狂をそこに覚えたものである。

配信リリースされたアルバム「失楽園」の先行配信として「Close to you」という曲がYouTubeにあがっていたのを見た。そこには「さわやかまえむき」ではないELAIZAさまがいらしたのです。


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予想を裏切るようなエレクトロニカな曲調ではあったが、自分は良いと思った。彼女の醒めきった声と、どこかにある熱情を活かしたようなプチ情熱的な曲だった。そして

「がんばらない歌い方」が保たれていたのも安心した。腹から声を出して抑揚をつけるというあっつくるしい歌い方を、自分は嫌悪しているからだ。

ささやくような歌い方だけれども、リズム感の良さも感じられた。この曲は基本的にダンスミュージックに値するものだと思うけど、それにふさわしい歌唱であると感じた。

 

アルバム「失楽園」のタイトルは「イングランドの詩人ジョン・ミルトン叙事詩失楽園』」が由来らしい。なんともインテリジェンスを感じさせて普通に素晴らしい尊敬できる。このアルバムは多数のアーティストが曲を提供しているが、本人のセレクションによるものでその世界観は統一されている。


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アルバム冒頭の「AYAYA」は、アイアイアというよくわからないフレーズ(リズムを大事にして浮かんだ言葉らしい)を中心に構成されている、どこかR&Bを感じさせるリズムに、幅広いボーカルラインキーの彩りが眩しいけど、やはりどこかが哀しげ。ヴィデオを見ていると「もう、この世界は終わったね・・」と終末の東京に誘われる週末><みたいな気持ちになってくる。

このアルバムの特徴として、そこまでコンテンポラリーには寄っていないということ。抽象的なアートとして池田エライザを利用しようという面持ちは無い。あくまでポピュラー・ミュージックの矜持を守りつつ、どこかの知らないELAIZAの世界にようこそみたいなアンダーグラウンドへの入り口みたいな雰囲気もして、サブカル受けもしような良いとても良い雰囲気がある。

ただしアルバム4曲目の「夢街」は挑戦的なトラックだった。

「ELAIZA & SOIL &“PIMP”SESSIONS」という名義のトラックになっていて、これはチャイコフスキーバレエ音楽くるみ割り人形」の中の「こんぺいとうの踊り」をモチーフにしたジャズのもの。3分の短い時間の中にそのモチーフから移した様々なリズムが展開してくさまと、ポルタメントを多用をしたブラスセクションと、ウッドベースのラインが高速スイングに乗せて上品に炸裂しているとてもおもしろいトラックだ。もちろんエライザさまの「この最上の悪夢へようこそウフフ」みたいな怪しいボーカルが素晴らしく、単なるコンテンポラリー・ジャズのような閉鎖的なものにはなっていない。

 

また、カバー曲が1曲だけ収められており、それは「プリティーウーマン」であり、あの有名なプリティー・ウーマンである。これがとても良い。ヘヴィでドライなギターが冴え渡り、アナロギッシュ(※今考えた造語)なドラムとベースが最高。エライザさまのボーカルは…もしかしたら英語が普通に話せるのかな??フィリピンとのMixedだし。。と思わせるよう素晴らしい英語に自分は聴こえました!英語わからないけど。。とりあえず、この曲にピッタリの声と重さです。重い、、重いです!

カバーがこの曲だけってのもいいなと。テレビで歌っていたような日本の曲にしなくてよかった。・・ぶっちゃけそれだけを売りにしたアルバムでも良かったんですよね。過去のヒット曲満載みたいな。レコード会社もそうしたほうが売れそう。でもそうしなかったのよーアタシー〜アハハ〜みたいな気概も、自分は感じた。

 

このアルバムは自分は気に入りました。なんとなく池田エライザが音楽活動をするんだたったら、こうだったらいいなと思っていたものに近かった。それは考えていたものではなかったけど、それも良いと思いました。丁寧なサウンドプロダクションと挑戦と遊び心と、エライザさまの美しい闇が感じられたアルバムだと感じた。

終わり