さわやかトラウマ日記

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自分の心には響かなかった。 藤井風 「HELP EVER HURT NEVER」

 

HELP EVER HURT NEVER(通常盤)

HELP EVER HURT NEVER(通常盤)

  • アーティスト:藤井 風
  • 発売日: 2020/05/20
  • メディア: CD
 

各方面で絶賛されているの藤井風のデビューアルバム「HELP EVER HURT NEVER」を自分も聴きました。彼のことはJamiroquai「Virtual Insanity」のピアノ弾き語り動画で知りました。その他、彼の素晴らしいパフォーマンスは、モノマネや、単なるコピー、YouTubeに溢れている「歌ってみた」「弾いてみた」という塵達を凌駕していると思います。

初めて見た時は、日本人だとは思わなかった、日本好きの外国人なのかなと思いました。実際にYouTube LIVEでのトークをするところを見ても、なぜか英単語混じりの変な日本語を話していたり、言ってることがよくわからなかったり、そして乱れに乱れている爆発ヘア・セッティングなど、わかりやすい「普通の人」ではない人だな、と感じるカリスマ性のあるお方だな、とお見受けしました。

 

その後に発表された、このアルバムに収められている冒頭4曲のヴィデオも、興味深い内容でした。日本人アーティストには感じられないリズム感を、バックトラックも含めて歌声にも感じられたのです。「後ノリ」というやつです。

今回はピアノは控えめなんだな、と聴き進めて気づきました。ピアノ弾き語り動画で、

豪放磊落に、己のインスピレーションと、音楽的な斤地を守って生き生きと好きな曲をピアノで弾き語る姿はここにはありませんでした。今回は、そういうものなのだろうと。バックトラックは素晴らしいです。プロデュースのYaffle氏を中心に、一流のミュージシャンが、ブラック・ミュージック、ポップス、アダルトオリエンテッドロック、のサウンドと現代的なアプローチも用いて、藤井風の独特かつ、伝統を引き継いだコードワークを彩っています。歌ももちろん、コーラスも素晴らしい。

一通り、聴き終えて、藤井風の豊かな才能とポテンシャルを感じ、圧倒されました。

 

しかし、その後、このアルバムを聴き返したりすることはありませんでした。

今回は、サブスクリプション、AppleMusicで聴きました。CDを買って、歌詞カードを見ながらだったら、もしかしたらもっと聴くのかもしれない、とも考えました。

でも、おかしいですよね。期待値もあり、前もっての学習もありました。作品も素晴らしいと感じた。なぜ自分はこんなに乗り切れないのだろう。

数日、考えていました。そして結論のようなものはでました。

 

自分は、彼の倍、2倍近く生きているんだ。と気づきました。

 

年齢と音楽は関係無いと思っています。そもそも年齢で、ひと括りにされたくない、そしてしたくないとも思っています。そうなのにどうしてなんだろう。

わかる大きな違いは、人生経験です。良いか悪いかは別として、積み重ねたもの、積み重ねてしまったものが、自分の中にはあります。

彼は今、22歳です。その年数の分、自分の人生は、他の人達と同じようにいろいろな事がありました。客観的に見ても地獄のような風景と、自分的には天国のような風景もたくさん見ることができた、そのような普通の40代の男です。彼がどのような人生を歩んできたのか、それが音楽に反映されているのかなどは、興味はありません。

 

音楽リスナーとしての自分の経験は「たくさんある」とはおこがましくて言えないのですが「すべてを貫くような衝撃的なもの」はここには無かったです。たとえ瞬間的にもです。そのような体験は、自分には数多くありました。やはり今回もそういうモノを期待してしまったんだと思います。頭が固くなっているだけもしれない。そうとも思っています。

余り余している自分の人生経験の重さと、彼の若い感性とは合わなかったのかもしれない。深みを感じられなかった。それはまだ彼の人生経験が浅かった。音楽自体の深さに追い付いていないのかなと思いました。

 

素晴らしいアーティストには違いないです。

いずれにしても少し悲しく、このアルバムには乗り切れませんでした。

 

終わり