このブログでさんざん書いているのですが、
歌手に必要なものは個性です。それ以外、何もいらない…
きょう紹介するアイドル歌手はそれがあった人、
その個性は、当時よりも現代に通じるものだったのではないのかと思わせた人でした。
それがこの人です。
この可愛らしいアイドル、当時の名前は坂上(さかうえ)とし恵、これは旧姓で現・野々村俊恵さんは1982年にデビューしたアイドルでした。
野々村といえば そうですあの人‥
スターダストのダスト(※出典→山口もえが『スターダストのスターは森尾由美さん、ダストは野々村真さんと私、という発言から』)として知られておられる野々村真さん、その奥様です。
数々の名アイドル(田原トシちゃん松田聖子小出広美さんなど)を生み出したNHK「レッツゴーヤング」番組内アシスタント「サンデーズ」での活動を経て、名門・渡辺プロダクションからデビューをしたとし恵。
計4曲のシングルだけをリリースして、歌手活動は終わり。どうやら売れなかったようで‥崖っぷちアイドルの元祖的な活動をしていたようです。
どれも素晴らしい曲ばかりなのですが、かなしい事にCDで再発や配信などは一切されていません!再発希望を願いレビューします
デビュー曲「き・い・てMy LOVE 」からもう名曲!
作詞:三浦徳子 / 作曲:亀井登志夫 / 編曲:清水信之という豪華メンツに乗せられて炸裂するとし恵のこの声!今で言うロリ声??声優さんになりたい系の人によくいそうな声ですよね!当時はどんな評価だったのかはわからないのですが、今は今っぽいな声だなと思いました!
そして素晴らしいドリーミーポップなこの曲、Aメロの歌割りがちょっと変わっていて、ひっかかる感じが面白いと思いました。
あらためて聞き直してみると、とし恵さんの声はキンキンとしてはいますが、キーは高くは無いのですよね。むしろ低い方だと思います。不思議な魅力ですよね。
これはカップリング‥ではなくB面の「ひとりで街をゆくときも」これも名曲です。編曲はA面と同じ清水信之さんですが、ゴージャスなアレンジ、洗練されたストリングスの使い方が冴えるサウンドに、まったく負けていない坂上さんの前に出てくる声が素晴らしいと思いました。これは声の映える領域の幅を考えて作った作曲家のおかげもあるのでしょう!
セカンド「黒い瞳」はオールディーズの香りがする良質ポップス
初めて聴いた時は、フフッというブリッコ(死語)なフレーズがあったりして、甘い感じの曲なのかな?と思いましたが、Aメロ的なところが2つあったその後にサビが来たり、サビの感じなどで、洋楽っぽい、オールディーズっぽいなと感じました。ちょっとぶっきらぼうな感じの歌声とよく合っていますよね。60年代のフレンチポップスっぽくもあるかと。
サウンドもコーラスが凝っていて、かつシンセサイザーのキラキラした音も入っていて冒険していて楽しい曲だと思います。
3rd「ラスト・キッス」は埋もれすぎている超名曲ロッカバラード!
3枚目のシングル「ラスト・キッス」この曲ほど埋もれている名曲という言葉がふさわしい曲は無いと思います。ロッカ・バラード、8分の12拍子、タララタララタラララララという伴奏が特徴の曲調です。
ここで歌われるのはタイトルの通り失恋…女性の方から別れを告げる場面のようです。相手には他に好きな人がいたということがわかったという状況、ラストキッスは頬に口づけを〜サヨナラは私に言わせて、という切ない感じです。でも、どこか強気な面持ちのする、としえさんの声と凄くよく合っていると感じました。
この曲は前作「黒い瞳」と共通するオールディーズっぽい曲調ですよね。スタンダードな音楽スタイルを大切にしている、この作品が出た1983年くらいだと普通のことだったのかもしれませんね。
アナログのシングルしか手に入らないこの曲のフル音源をYouTubeにあげてくれた方がいました!凝ったアレンジ、当時このレベルが普通だったのかもしれないけど、今にしてみればゴージャスな編成な芳醇なサウンドが素敵です。
しみじみと本当にイイ曲だなと。そしてスタンダードに紐づいた曲は古臭くならないんだなとも改めて思いました!
ラスト「電話はスバヤク」はカバーのカバーのアメリカン・ポップス風味
いよいよ4枚目、そしてラストシングルになったのは「電話はスバヤク」 でした。
これはカバーになり、もともとはGet Wetというアメリカのバンドの「Just So Lonely」という曲です。ヒットしたらしく、このバンドの代表曲のようです。
そしてこれをカバーしたのがスクーターズという故・信藤三雄さんがリーダーだったバンドでした。トシヱさんはこれをカバーしたのです。
この曲、原曲も含めて大きな聞き所は歌いだしにもあるサビの「アゥ」という高い声で嬌声を挙げるところだと思うのですが、原曲とスクーターズは「ギャウ」ですが
坂上さんは「アンッ」みたいな持ち前のロリ声を活かした感じに変えたのかな?いい感じだと思います!
そして、この原曲は80年にリリースされたのですが、オールディーズ風味。それを狙っていたようです。とし恵もここまでオールディーズ風味でしたよね。3年後にカバーするなんて、スタッフのセンスの良さが伺えますよね!
その後のトシエ
この曲でシングルは終わりです。アルバムも制作予定はあったようですが、無しに。やはり売れなかったからなのかな。生き残るには厳しい時代だったのでしょう。
その後は、Wikipediaによると声優としての活動も少しあったようです。前述のラジオでの「がけっぷちトリオ」での活動に象徴されるように、低迷していたのかなと。「がけっぷちトリオ」は他に浜田朱里(80年二デビューしたポスト百恵!)と日高のり子さん。日高のり子さんはその後は声優として花開きましたよね!タッチの南ちゃん役!
そして前述のWikipediaに書いてあったのですが「校内写生」というアニメのサントラにも参加していたようです。声優としてもかな?とりあえず歌は歌っていました。
いい感じの曲に、坂上さんの声も曲によく合っていますよね。
そしてこのアニメは…
タイトルの通りに…わりと成人向けアニメのようです。
この頃には渡辺プロダクションから離れていたのかな?わからないのですが。内容はやはり見ていないのですが、どちらかというとアンダーグラウンドな活動ですよね。
その後は以前から交際していた野々村真さんと結婚、お子さんも産まれて家庭は順調のようです。鬼嫁なんて言われていますが、実態はわからないし、長く続いているので問題ないのでしょう!
現状、CD化や配信もされていないのがとても惜しいのです。良いものを作ろうという気概がとても感じられた作品をぜひ再発してほしいです!
終わり