最近つかれぎみです・・・どうにもよる年波が・・天才の命は短い、美人薄命、なんてに言葉が頭をよぎる中・・NHK交響楽団のコンサートに行きました。
会場は先日の杉山清貴&オメガトライブと同じNHKホール。こっちの方がチケットを先に取って、公演は後にあったのです。NHKホールは新宿からバスに乗って渋谷区役所前のバス停で降りると目の前なのです。そこまではいいけど、公園の入口からホールまで遠い・・
やはり美人薄命なのだろうか 歩くのがつらい・・
この日見に行った理由は僕の大好きなスクリャービンだけのプログラムだったからです。NHKホールしかも土曜日に!2DAYS!スクリャービンだけ!ロック!
しかし、この公演ができたのは、ゲストである反田恭平さんのお陰であると考えました。反田さんは、ショパン国際ピアノコンクール第2位という素晴らしいお方です。
その反田さんが、スクリャービンのピアノ協奏曲を弾くのです!楽しみ!
この素晴らしい耽美的なメロディ・・この頃はまだショパンからの影響が濃かったころなのでしょう。ひたすらに一つのものを大事にしているサーシャ(スクリャービンの愛称)の姿も浮かんできます。
反田さんの演奏は、もちろん極上でした。この曲はヴィルトゥオーゾ的な部分も少しあるのですが、それを感じさせない、内包されている和声やスクリャービン特有のタイの多い変則的な音符も見事にこなしていて・・・かつ、まだお若い20代しか出せないような熱さも感じられる演奏でした。
あとピアノの鳴らし方もさすがだなと思いました。やはりそのあたりも熟知しておられるのでしょう。フォルテもピアノでも底の深い音色が響いてきました!
休憩を挟んでスクリャービンの交響曲第2番 この曲はあまり、聴いたことがなかった、事前に聴いてみたのですが・・
しかし、始まった途端にあ、これは素晴らしい曲と演奏だと感じました。プログラムによると、この曲はスクリャービンの青春交響曲のような感じだと記載がありました。
若かりしアレクサンドル・スクリャービン。管弦楽曲はあまり得意ではなかった彼が、慎重に丁寧にスコアを書いた、そしてその時の気持ちを詰め込んだ曲なんだと感じました。
この日の自分の席は前から2列目の・・左端の方です。クラシック界ではいくら前でも端のほうは良くないのです。響きが良くないので・・
しかし、この位置からは指揮者とコンサート・マスター(首席ヴァイオリン奏者)はよく見えました。
この日の指揮は原田慶太楼さん
「題名の無い音楽会」でよく見るお方でした。この方の指揮は素晴らしかった。それは前の席だからわかったのだと思います。ここはこう音を出してほしい、という指揮からその通りの音がオーケストラから出ていたような気がしたのです。
あまり演奏機会の少ない、というかほとんど無さそうなこの曲。おそらくスコアを読み込んでメンバーとのリハーサルでも喧々諤々とやり合ったのはないのでしょうか。指揮者の仕事って棒を振るだけではないのです。いかに演奏を仕上げていくのか。プロの場合は技術的なことは問題が無いので、より高度な音楽的な解釈の共有が必要なのです。
その仕事の成果がこのコンサートの場なんだな、素晴らしいなと感じました!
全5楽章にわたり、堅牢なソナタ形式を中心に進んでいくこの曲ですが、途中のスローなパートではヴァイオリンソロも交えて、美しい瞬間が多々ありました。
スクリャービンの青春の日々が浮かんでくるようでした。サーシャは恋をしていたのかもしれない・・モスクワの少女と・・・あの寒さの中で・・暖かな日々と恋を夢見て・・でも届かないこの思い・・切ない・・
みたいな・・
そして終盤まで、やはり手堅い感じ、しかしこの頃にはワーグナーとリヒャルト・シュトラウスに傾倒していたようで、そのような陶酔もありつつ進み、曲は大団円!
素晴らしい演奏で目一杯拍手しました!
この曲を生演奏で聴く機会はもう生涯無いかもしれません。もしかしたら演奏する側もそう思っていたのかもしれない。そして今日を超えるような、この曲の演奏は無いかもしれない。という気分になりました!
この日に配布されたプログラムに素敵なイラストがありました。スクリャービンと同級生だったラフマニノフと手を合わせているものです。大柄のラフマニノフと小柄のスクリャービン。いろいろ対照的で面白いコンビですよね!
終わりです