- アーティスト: L’Arc~en~Ciel,hyde
- 出版社/メーカー: キューンミュージック
- 発売日: 1994/07/14
- メディア: CD
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白系さんいらっしゃい第3回にて、 ラルク様2回めの登場。
やはり白系といえば、このアルバムに触れないわけにはいかない。
「Tierra」はL'Arc~en~Cielが94年にリリースしたメジャー・デビュー・アルバム。
ソニー系列のキューンからリリースされた。セールスは当時はイマイチだったが、その後の大ブレイクでこれも聴かれるようになった。
とにかくクオリティが高い。インディーズ時代からデンジャー・クルーの正確なプロダクションが光っていたが、それにソニー様の一流のプライドが合わさって、いや〜さすがプロ!さすがメジャーと唸らされる作品。噂によるとレコーディングに予算も結構かけたとか?
丁寧なサウンド・プロダクションは「DUNE」以降の雰囲気をさらに引き立て、新たな魅力を加える事に成功している。
そして、粒ぞろいのエレガントな楽曲達。このアルバムは霧の中に存在しているのような「DUNE」とは違い、より具体的に曲の表情を伝えてくれる。前作から格段に良くなった!というより、あくまで階段を一歩一歩、確実に登っているという感じ。今にしてみると過度期ともいえるが、 あくまで進化としては次の「heavenly」よりは着実な気がする。
白系って何という人はこちらを。
1.In the Air
作詞・作曲:hyde
ベースのアルペジオから瞑想的に始まる。除々に広がり、hydeのシャウトとともに空へ墜ちていく。底無しの空、空気の中で見えるのは大地。遠くに広がるのはTierra(地、土の意)ある場面を具体的に描写しながらも現実離れした歌詞。幻想的。
kenの浮遊感のあるギターと時に激しい表情を見せるのがたまらない。
全体的に白系的な陶酔感がありつつも、もっとスケールが大きい。「DUNE」との違いはそこである
2.All Dead
作詞・作曲:hyde
凄いタイトルだ。「全員死ね」
でもこういう怒りソングだと「全員死ね!ウギャー!となるのが普通だと思うけど、この曲はあくまで優雅。「皆様…お死になさって…」という感じで優雅である。でも歌詞の怒りは強い。攻撃的で破滅的である。
16ビートの優雅だけどスピーディーな曲調で、歌詞以外は大きな怒りは感じられない。でも、静かで仄かな熱を感じる。16ビートといえばドラムが勝負だが、SAKURA氏のドラミングは完璧。testuのベースも乗りまくり、でも曲に合わせて抑えてる感じもある。DUNEの頃のベースはとにかくイケイケだった。どちらも好き。
hydeのボーカルは優雅に、そして深い怒りをファルセットを多様して表現する。怒りが白い。やはり彼のボーカルは白!
3.Blame
作詞:hyde / 作曲:tetsu
ファンに人気の高い曲。「ザ・tetsu」って感じの曲調。やはりベースが目立つ。大きくわけると2つのメロディしかないのに、場面転換が上手くて、物凄くポップに聴こえる。音程の高低差が激しいhydeの歌唱も素晴らしい。あーこんな風に歌えたらな〜
歌詞は「君」に対する憐憫が溢れて止まらない。これは「All Dead」で怒られてた人?
4.Wind of Gold
作詞:hyde / 作曲:ken
出た!ラテン!ヴィジュアル系とラテンなんて異色の取り合わせ。まーたコレが完成度が高い。冒頭のアコースティック・ギターはレゲエのリズム。間奏では、コンガ、トライアングル、マリンバなどのパーカッションが効果的に使われる。ヴィジュアル系では異色のサウンド。あ、ラルクはヴィジュアル系じゃなかったですね!失礼しました。
歌詞はタイトルの通り。中南米あたりの古くて美しい街の風景を思い起こさせる。なんだかリゾートっぽい気もする。
5.Blurry Eyes
作詞:hyde / 作曲:tetsu
言わずとしれた名曲。アニメ「DNA2」にも起用されてシングルカットもされた曲。「ラルクがアニソンをやった!」みたいな感じで当時は話題になりました。別にアニソンっていっても当時既にリリースされた曲をレコード会社が勝手にタイアップ付けただけなのに、結構(ネガティブな意味で)大騒ぎしている人がいて、なんだかなあって感じ。今では「アニソン」は全く別の意味を持つものになりましたね。初めてPVを見た時は感動したなあ〜頭の中にあった映像がそのまま出てきて感動した。間奏明けの3拍子のメリーゴーランドのところとか。最後はマイナー展開して同じ3拍子になって終わるのがシブい!曲調は明るいけど、哀しい歌詞ですからね。
6.Inner Core
出た!ヤバイ曲。sakuraたん唯一の作曲。歌詞はヤバくないhydeたんだから、問題ないね!でも全体的ヤバイ歌詞。曲調もヤバイ!現代版スピード・サイケデリック・ミュージックって感じでしょうか。あ、これ以上書くとヤバイ!しかしこの曲も良いです!間奏のスリリングな展開などシンセが特に光ってます。あーもっとsakuraのラルク曲聴きたかったです。異色!
7.眠りによせて
作詞:hyde / 作曲:ken
この曲を初めて聴いて時は爆笑しましたね。ボサノヴァで優雅に始まったかと思うと、サビでその流れを引き継いだまま、kenのヘヴィなギターがバッキングに!「え?ふざけてるの?」と思いましたが、ふざけては無い様子。ボーカルも、ベースも何事もなかったように淡々と続いていく。でも、その違和感が好きです。
8.風の行方
作詞:hyde / 作曲:ken
「DUNE」にも「heavenly」にも入っていてもおかしくない曲。そして現在にあってもおかしくない(現在って無いのかな…)非常にラルクらしいメロディの曲。全体的に中庸だけど、独自の哀愁はやはり感じられる。
9.瞳に映るもの
作詞:hyde / 作曲:ken
ピアノとシンセが主役のバラード。ニューミュージック的なピアノが美しい。「静」を感じさせるメロディと歌声。ちょっとhydeの声が掠れてるとこが、逆にいいかな。でもちょっとタバコ声のような気がする。この頃ヘビースモーカーだったhydeさん。今はどうなのかな?
最後はピアノが華麗に崩壊して終わる。いいね。やっぱりこうでないと。崩壊!全て崩壊!気の狂った私…瞳映るもの…
ピアノは富樫春生大先生。さすがベテラン。
10.White Feathers
作詞:hyde / 作曲:ken
アルバムのラストを飾るのは7分56秒の大作。この曲には思い出がある。
この曲がリリースされる前、冬のある日に僕は受験のため、長野から一人上京してビジネスホテルに泊まっていた。そこでチェックしていたのは長野では映らないテレビ埼玉。38ch。とにかく「ヴィジュアル系が映らないかな」と思って観ていたのだが、なんとL'Arc~en~Cielが始まった。『ノスタルジーの予感〜第一章〜』である。うわ!凄いさすがテレビ埼玉と思ったが、特別番組だったらしい。後にあの「賛美歌」もこの23時枠で同じ事をやりました。
番組の内容は渋谷公会堂でのライブ映像や、イメージ映像に合わせてhydeが「開放を…」「ライブは…」などの美学ワードwをボソボソと呟いてる内容だった。この頃既にメジャーデビューが発表されていたので、お金のかかった内容だった。しかし、最後に流れたPVに息を飲んだ。白い!白い世界観。そして長い!「とにかく長い曲」という印象が強かった。でも美しい曲で、僕の心には残った。「Tierra」を初めて聴いた時、「White Feathers」が流れだして、これはあの曲! あのビジネスホテルで聴いた曲!
今でも覚えてる、美しい映像。白い羽根の中でhydeが眠っているように見える。死んだ?曲も「DUNE」からの自然な変化だった。この曲を聴き終わると深い感動に包まれた。白…白?白系!サウンドもボーカルも完璧に白である。ああ、これが自分が求めていたものだ。
この映像、商品化はされずに幻の作品となってしまい「もう視られない」と思ってたら、Youtubeに上がっていて感激のあまり頭が真っ白になってしまった。
「Tierra」とは違うバージョンなのか、とりあえずボーカルは全然違う。あと最後がフェードアウトでなくてちゃんと終わっている。ボーカルは「Tierra」と比較すると、「Tierra」の方が段違いに良い。短い期間なのに成長が感じられる。
PVは至高。やはりソニー制作だからかクオリティが高くメジャー・デビューの作品といっても問題の無いクオリティ。とにかくhyde様が美しい!
美しすぎるhyde様 天使?
この曲を初めて聴いた時「白系」という言葉が浮かんだ。当時、V系好きの人と交流がなかったので、みんなそう言っていたかはわからない。僕は白系でこの曲が究極だと思った。しかし、事実上これは最後の「白系」となった。彼らはより高みを目指すため、変化していった。それは仕方の無い事だと思う。heavenlyリリースの時のインタビューで「自分達の意向がスタッフに伝わってなかった。ライブで(ステージのセット)『何この白い柱』って感じだった」ちょっとショックだった。白い柱こそラルク!そしてリリースされた「heavenly」はやはり白系とはいかない作品だった。彼らは正しい選択をしたと思った。その後あんまり興味がなくなっていって、例の事件があって、その後大ブレイク。完全に付いていけなくなった。
二度と視られないと思っていた「White Feathers」のPVを脳裏に思い出しながらもう1度曲を聴く。白い羽根の中で眠るhyde。白はこの曲で死んで透明になった。透明は目に見えないけどいつでもそばにある。そして僕の記憶に音楽は残る。透明な白。永遠に…。