相変わらず、山の中でひとりぼっち。街も遠く、どこにもいけない。そして寒い。
毎日そんな感じです。
そんな状況ですが、久々に音楽に励まされたので、レビューします。
普段は自分の好きな音楽を聴く、そしてたまに聴いたことのない曲も聴いたりします。新しい音楽を聴く、ということはかつては大きな、あるいは少額でも固定的な出費が必要でした。
しかし、時代は変わりました。オンラインで「聴き放題」のサービス、月額有料ですが、それを使えば、例え興味がなくても、知らなくてもその音楽、音楽にまつわるもの、ディスコグラフィー全てが手に入ったりします。
全ての「聴きたい音楽」が手に入るわけではありません。そういうものは他に今まで通り、CDを買えばいい。ですから「聴きたい音楽」がそこにあったら凄くラッキーなのです。
今日、自分は「ずっと聴きたいな」とうっすら思っていたバンドのベストアルバムをそこに発見しました。今までは「Apple Music」のサービスで音楽を聴いていたのですが、トライアル期間が終了してしまい、コンビニエンスストアまでiTunes Cardを買いにいくまで、利用することができなくなりました。そこで持っているDocomoの携帯電話からの決済ができないかなと思いましたが、docomoでの決済はできないようでした。
そこで「Google Music」がdocomoの決済で使えるようでしたので、さっそく1ヶ月トライアルとして決済もして、使ってみました。
Apple Music、Google ミュージックの保有曲の違いですが、あまり無いように思います。ただし事前にアップルミュージックで聴いていた、マニアックなクラシックのアルバムは無いようでした。
そんな中「まさか無いよな」と思って、アップルミュージックにはなかった、そのバンド名で検索したところ、ありました。ベスト盤。2枚。それだけで他は買い切り有料のみです。
それはスピッツの「CYCLE HIT Spitz Complete Single Collection 1991-1997」と「CYCLE HIT Spitz Complete Single Collection 1997-2015」です。
スピッツは僕にとって、「不思議な存在」でした。
あまり日本の普通のバンドが好きではなく、フリッパーズ・ギターとかそのあたりは好きだったのですが、男性がボーカルをつとめる普通のバンドは好きでない。みんながカラオケで熱唱するようなバンドはほとんど嫌いといっても、いいかもしれません。
その中でもスピッツは、とても好き、というわけではなかったです。が、きになる存在でした。そして少し聴いていました。アルバム「ハチミツ」は買った覚えがあります。
スピッツのサウンドは、僕好みです。ギターのシンプルなサウンドが貴重で、激しくなることはスパイス的で、常にドリーミーで、夢見がちですが、このバンドのポイントはやはりボーカル、草野正宗さんのボーカルです。
皆さんご存知のとおりのあの「声」です。透き通っていて、伸びて、すごく切ない。ピュアな印象だけれども、こころに黒いものを抱えているような。
「声」だけきけば「天使の声」といってもいいかもしれません。
自分は一般的な売れているバンドの男ボーカルの「高い」声が好きではありません。
誇らしげなその声は、低い自分の声を嘲笑っているような気になってしまいます。
しかし、スピッツの草野さんの歌は平気です。なぜでしょう。
彼の詩を読むと「なんだかわからない狂気」がうずまいています。
今日、久々にスピッツを聴いて、そしてネットで歌詞を読みながら聴いて、そう思いました。もしかして受け入れられたのは、そのせいかもしれません。声だけではなくて。
収録曲
こうしてシングルのリリースの順番通りのベスト版の曲見ると、自分はスピッツのシングルリリース順を正しく。把握してませんでした。「空も飛べるはず」は「ロビンソン」の後だと思ってました。「君が思い出になるために」は「ロビンソン」よりかなりまえに、テレビ神奈川でPVがよく流れていたので、覚えてました。時系列がよくわからないのですが、「ロビンソン」以降の曲はほとんど知っています。
スピッツを久々に聴いて、すごく癒やされました。癒されたということは、癒やされたかったのです。最近、音楽を聴くことさえも恐怖を覚えるくらいに、全てに、自分に失望してしていたのです。そしてあたまの中にある曲が浮かんできて「あれはスピッツだったかな」と思って、覚えている歌詞を検索してみたところ、スピッツの曲だとわかりました。その曲は、次のベストアルバムに入ってました。
そしてスピッツの音楽は、現実離れをしている。「僕らの身近にある恋愛模様」のように聴こえて、幻想的な絵本のような世界のようです。
しかし、「君」という対象に対してで現実とのつなぎ目になっている。のではと感じました。なぜそう思ったのか。僕には「君」がいないからです。
以下、ピックアップしてレビューします。
6曲目「日なたの窓に憧れて」
すてきなタイトルです。はじめて聞く曲でしたが、タイトルだけで暖かい気持ちになりました。日なた好きなんです。日なたがもっと好きになれる曲だったらいいな。実際にその通りの曲でした。しかし、曲が進んでいくつにつれて、胸が締め付けられました。自分の現実を思い知ったからです。
自分の家は日がよく当たります。そこで一日中太陽を眺めている毎日です。
「君」とひなたで絡みたい。なんて思うのですが、そうはいきません。
曲は「メリーゴーランド メリーゴーランド 二人のメリーゴーランド」と唐突に幻想的な世界へ突入します。回り続ける、メリーゴーランド。僕の廻りで。それはそんな気分になっているだけです。しかし、哀しいほど美しいです。
8「空も飛べるはず」
ドラマ「白線流し」のために作られた曲。ドラマは僕が21歳のころに放送されたようです。僕はドラマの舞台になった長野県にて高校時代を過ごしたので、少し気になっていたドラマでした。もちろんこの曲も当時聴いていました。特に感動とか、そういうものは感じませんでした。当時は。
今になってこの曲を聴くと、やはり自分の青春時代を思い返します。しかし、それは「美しい思い出」ではなく、「美しかったかもしれない思い出を思い出す、現在に対して不満をもっているような自分」を、この曲から感じました。
ゴミできらめく世界が僕達を拒んでも ずっとそばで笑ってみてほしい
ゴールデンのドラマの、こんなに美しい曲のサビで「ゴミ」だなんて。なぜか「ゴミ」という言葉に親近感を感じます。「星」とか「空」とかより。身近だから。
久々に聴いて、感慨に浸っているとあっという間に終わります。スピッツは基本的に曲が短く感じます。しかし満足感はあります。
9「青い車」
この曲を音源で聴いたのは初めてだと思います。しかし曲は知ってました。
これは、ギターポップです。コード進行、サウンド。日本のギターポップでよくある曲調ですが、それとはレベルが違いすぎます。なぜならば僕は「日本のギターポップバンド」にいたからです。こういう曲をやっているバンドは沢山いましたが、ほとんどがやはりニセモノでした。この曲のような見事な高揚感と、青い車の色を表したような色彩感のあるメロディ、そして誰の真似でもないボーカル。ありがたい曲です。
このシングルのカップリング「猫になりたい」が聴きたかったのですが、さすがに入っていなかったです。
貼っちゃいます
https://www.youtube.com/watch?v=Ih-w4AmOXpU
10・ロビンソン
草野正宗さんはこの曲関して「地味な曲」ということで、シングルにすることを反対されていて、廻りのメンバーやスタッフの説得でリリースされたとのこと。
それはリリース後、バンドの代表曲となった、それが枚数に出て、ツアーを行った時も「なぜこんな地味な曲が」と思っていた。これは、誰がきいても今までの最高傑作の曲だと思います。だからみんな知っています。でも本人としてはそうではなかった。
しかし、まわりの人はそうは思わなかった。本人はそれに従った。
よくアーティストを表す「天才エピソード」というものがありますが、草野さんの場合はこの「ロビンソン」がそれに当てはまると思います。しかし、時が流れ、本人も柔軟に考えられるようになったとのこと。
「ロビンソン」の歌詞は、まったくもって意味不明です。
なんとなく楽しそう、美しい、儚いのは伝わってそれが旋律と相まって、感動しますが、どこにどう感動するのかよくわからない。そこが名曲であり彼にとって「地味な普通の曲」だったのかもしれません。まあ問答無用の夢ごこちです。
14.渚
イントロだけで醸し出される「渚感」あー海に行きたいです。と思わせる曲です。
Aメロはコード感が希薄で、ふわっとした感じですが、2回めAメロから少し地を足についた感じになります。
「渚」の曲でありながら、それは単なる「渚」のうたなのか、もしかしたら「渚のまぼろし」の歌なのか、わからないです。遠い夢のような美しい渚。TUBEの歌で歌われるような渚とは違うのです。
この曲には「夏」という言葉は出てきません。そうでした。渚といえば海、海といえばTUBE、渚は全季節に存在している。それは自然に。この曲のように。あー海に行きたい。海に行くつもりじゃなかった。
CYCLE HIT 1997-2005 Spitz Complete Single Collection (初回限定盤12cmCD付)
- アーティスト: スピッツ,草野正宗,笹路正徳,白井良明,亀田誠治,棚谷祐一,石田小吉,クジヒロコ
- 出版社/メーカー: ユニバーサルミュージック
- 発売日: 2006/03/25
- メディア: CD
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CYCLE HIT Spitz Complete Single Collection 1997-2005
収録曲
1. 夢じゃない |
2. 運命の人 |
3. 冷たい頬 |
4. 楓 |
5. 流れ星 |
6. ホタル |
7. メモリーズ |
8. 遥か |
9. 夢追い虫 |
10. さわって・変わって |
2.運命の人
2枚目のほうが知らない曲名が多く、「みんな知らない曲なんだろうな」と思っていたのですが、しかし曲を聴いていると「あ、、知ってる!」と思い出すことが多い「なんか変」な体験ができました。変な体験だと感じることは音楽を聴いていてあまりないと思います。
この曲はやはりサビです。「あ、知ってる」と思いました。アーニージューのところとか。その後はやはり歌詞は出てこないのですが、なんとなくハナモゲラにくちずさだり。それは寒い日に、やけくそで長い距離、坂道を歩いていた時かもしれません。
そしてサビの最後の部分が「神様」だということを知り、僕は泣きそうになりました。神様っているかもしれないと。
4.楓
これです。これ。
スピッツの曲だとわかっていたのに、どの曲なのかわからなかった。
そしてその曲は1枚めに入っていませんでした。
「あの曲はスピッツの曲じゃなかったのかもしれない」とこの曲を聴き始めた時に思い出したのです。幻だったのかも。最近あたまおかしいからなーなんて思っていました。
その曲は、F#マイナーのコードでしたが、この曲はAメジャーで展開されていきます。
「あ、やっぱり違うな」と思いました。でも、テンポが、テンポが一緒です。
Bメロになると、これからのコード進行が・・・そして
「さよなら 君の声を」この曲だ。この曲でした。
「探していたのさ 君と会う日まで」
という2番の歌い出しが泣けます。この曲は自分の心境に近いような気がしますが、心境に寄せているだけかもしれません。すごく哀しいから。
僕も「さよなら」といつも隣り合わせです。それはいつか会えるものと信じているけれども。毎日「さよなら」している。隔絶された中で僕は僕のままでいられるだろうか?
8.遥か
歌詞や曲にたいして、過度に現実を投影してしまうことは、自分はよくあるのかないかのか、どちらかというとよくあるほうなのかもしれません。
それは今、自分が「わりとぜつぼうてき」な環境にあるからかもしれません。
しかしそれはのんきなぜつぼうです。そのそんな気分にはぴったりの、「呆けた曲」曲です。なぜか罪の意識を感じてしまうのです。罪ではないのに。幸せが、遠い遥かものと感じてしまうからでしょうか。
10.水色の街
他人ごとながら「こんな地味な曲をシングルで出しちゃってすごいな」って思いました。この曲がいちばんうつくしいと感じたところは、出だしです。少し歪んだギターのコードと深いリバーブのボーカルで流れて「水色の街の曲」とわかるところです。
その曲はあまりいろいろな色が足されることもなく、そして加えらえることもなく、続いていく。それが心地よい、良い曲です。
11.スターゲイザー
スターゲイザー、よく使われる言葉ですね。星をみる人。スピッツにありそうでなかった曲名です。最近CMで流れてますね。
PVは軽井沢の「浅間モーターロッジ」にて撮影されたとのこと。このブログの「カルテット」のドラマレビューをご覧になったことのある人ならご存知のとおり、私は軽井沢、いや、軽井沢の隣の市の在住です。PVを見て「アレ?もしかしたらみたことあるカモ・・」なんて思いましたが、既に解体されたとのこと。地図でどのあたりにあるかはわかりました。
「日本ロマンチック街道(笑)」沿いなので、見ていたかもしれません。このあたり、廃墟がとっても多くてさみしい地帯です。華やかな観光地のイメージの軽井沢ですが、実態は高齢化が進む僻地です。廃墟好き、または廃墟で撮影したいバンドにおすすめですよ。
15「春の歌」
このくそさむいのに春の歌かよ、と思いながら聴き始めました。
が!またしても裏切られました!この歌は「春の中で君とほんわり」みたいな、いかにもスピッツ、みたいなパブリック・イメージそのままの歌ではなく、辛い現実に抗い春の夢を見る人の、とても強い、そして悔しさに満ちた、複雑な曲でした。しかし、曲はまさにスピッツのあたたかいイメージそのものです。
「やっぱり僕の現実と」とか、考えたくなりますが、やめておきます。
そして、このブログも今日はもう終わりです。
ちょっとつまみぐいにもすぎて申し訳ありませんが、なんせ久々に聴いたので許してくださいー
それより「スピッツ」って犬の種類の名前だったなと思って画像検索してみたのですが
可愛いですね。
僕の家の横をいつも犬を散歩している人がいて、一日に何度も何度も通るのですが、もしかしたらその犬は「スピッツ」かもしれません。でも違うかもしれない。「コリー」かもしれません。ほんとうどうでもいい話ですみません。でも、本当に「スピッツ」だったら素敵だなあなんて。その方とはお話したことないので今度話しかけてみようと思います。季節の話、山の話なんかをしつつ、「犬ちゃん可愛いですね」の後に、その件を伺う。私はこの山で犬に出会うのはなんとこの子が4匹めになるのです。なんということでしょう。ほんとうに私は孤独なのでしょうか。
ということで今日、できた新しい「犬のお友達」ヨークシャーテリアの「桃子ちゃん」
の写真でお別れです。