歌詞
http://j-lyric.net/artist/a05866a/l02fac0.html
「なんだまたゲスの乙女。かよ」と言わないでほしい。
僕だってそう思ってる。でも聴くのを止められない。自分だってよくわからない。何故そこまでゲスを聴くのか。
前にも書いたように、全てApple Musicが悪い!
なんとなく1stアルバム「魅力がすごいよ」を聴いてしまったことから全てが始まった・・・のは前に書きましたね。
Apple Musicに入っていない最新アルバム「両成敗」も買ってしまった…
そして最初は気に入らなかった「魅力がすごいよ」より前のミニアルバムやepもAPPLE MUSICで聴くうちに凄く好きになった。
今日はほんとアルバムといってもいい8曲入のミニ・アルバム「踊れないなら、ゲスになってしまえよ」から1曲め「キラーボール」をポエム風にレビュー
「アタシ!ヤッてないの!」
カズコは花柄のワンピースを引っ張りながら、そう叫んだ。
「ホントよ!ほんとなの〜わかってえ」
「カズコわかったよ。良いから落ち着いて」
1Kの狭い部屋で僕とカズコは抱き合う。「ヌフフ〜落ち着くう」カズコの口からは少し涎が垂れていた。
明らかにヤッていた。
ここ最近、カズコの様子がおかしいことはわかっていた。いつからそうなったのかはわからない。酔いつぶれた時に「お母さん…ごめんね」「お母さん死んじゃった」と言っていた。本当かどうかはわからない。
彼女の家族の事を全然知らなかった。その時気づいた。もう数年も一緒に暮らしているのに。
「ヤッてるの?」と勇気を出して聞いてみたこともある。「ヤッてるわけ無いじゃない!」と大きく返事をされた。
「…わかったよ 大丈夫だよ」
「うえーんありがとう」
カズコの事は好きだったが、正直こういう関係や、酒や・・・おそらくクスリで彼女が壊れていく中、僕はだんだんだんだん彼女に冷めてきた。
ただ、カズコを失っても自分には何も残らない。それも事実だった。
ある日LINEでカズコからメッセージが来た。
「あたしね!クラブのステージで踊るの!今から来て!」URLが乗っていたが、聞いたこともないクラブだった。どこだここ?
家からはすぐ近くだった。
地下は暗すぎて、よく人が見えない。とりあえず、10数人ほど人がいるのはわかる。
「カズコ何処?」
そうすると、ノイズのBGMが止み、DJが曲をかけ始める。
そうすると小さなステージの上でカズコが踊りだした。花柄のワンピースを着て。
音楽はイケイケのトランスかと思いきや、4つ打ちのテンポの早い、ジャズみたいな曲だった。ミラーボールが廻りだし、カズコや客席を照らす
たった今わかったんだ
キラーボールが回る最中に
踊ることをやめなければ
誰も傷付かないんだって
そんな歌詞が聴こえてくる。
間奏でカズコがマイクを握り、叫ぶ
ミラーボールが哀しげにカズコを照らす。
グルグルまわっている。
「あたしね!ヤッてないの!!!」ほんとよ!ほんとうなの」
その顔が涙で濡れていた。
カズコ…
しかしその瞬間、ミラーボールから、刃が飛び出して来た。
幻覚か?と思う間にくるくる廻るミラーボールから出てきたものが、僕の身体を突き刺した。
ふと目覚めると、僕は何らかのベッドに寝かされていた。
「お、気づいたか」
朦朧としている僕はまだ自分が何をしているのか、誰なのかわからなかった。
「こんなになるまで、何ヤッちゃったの?」スーツ姿の男が聞いてきた。
「あ・・・」
しかしその瞬間に、また天井からミラーボールが降りてきた。
「あ・・う・・」というものの、誰も反応しない。
そして、またくるくる廻りながら刃を降らせた。
ミラーボール…キラーボール…?
そしてジャズっぽい音楽は流れ続けた、刃が僕を・・・
そして僕は・・・
終わり